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日本で会社員をしているダン・ティエン・アンさん(25歳)は25日夜、日本から急きょ帰国し、来月末に結婚式を挙げる予定だった妻のDさん(25歳)が眠る棺にブーケと結婚指輪を置いてバージンロードを歩く妻に捧げるはずだった歌を遺影に向かって涙ながらに歌った。
メコンデルタ地方ティエンザン省出身のアンさんとホーチミン市クチ郡出身のDさんは、ホーチミン市工科大学の同級生で在学時に交際を始めた。卒業後にDさんは技能実習生として、アンさんは会社員としてそれぞれ日本へ渡った。
実習満了で数か月前に帰国したDさんは、東南部地方ビンズオン省で通訳として働きながら9月29日に予定していた結婚式の準備を進めていた。2人は婚姻届も提出し、結婚式の招待状も書き終え送るばかりになっていた。結婚式後にはアンさんが身元保証人となり、Dさんも日本へ戻る予定だったという。
ところがアンさんは25日、Dさんが同日朝にクチ郡で交通事故に遭い急逝したとの一報を受けた。さらにフェイスブック(Facebook)を介して米国のライブ配信サイト「ライブストリーム(Livestream)」で事故の動画を発見し、ゴザで覆われた遺体の横で泣く妻の家族を見て、事故の被害者が妻であることを確信した。急なことに航空券はどこも売切れだったが、なんとか人づてに買うことができ、アンさんはホーチミン市に向かった。
棺の前で歌い終えるとアンさんは遺影に向かって語った。「君にもっと色んなことをしてあげたかったけれど、今僕にできることはこれくらいしかない。君と小さな家族を築こうとしていたのに、今となってはどうすればいいか分からないけれど、僕は精一杯生きるよう頑張るよ。きっと天国でよほどのことが起きたから君は呼ばれたんだよね、さもなければ僕を置いて逝くはずがないもの。あと32日もすれば僕たちの結婚式だよ…」。
気丈に振舞うアンさんだったが、母親の胸に抱かれると嗚咽をあげて泣き崩れた。