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ベトナム国内で高速鉄道や新幹線への投資について議論が交わされる中、たった1人の客を乗せて運行する日もあるほど利用の少ない鉄道路線も存在している。
大手電子新聞社VNエクスプレス(VnExpress)の記者が、ベトナムで乗客が最も少ないとされるイエンビエン(ハノイ市)~ハロン(東北部地方クアンニン省)間の鉄道を取材した。
18日、イエンビエン~ハロン間の鉄道は、3両編成(客車1両と貨物車2両)の列車が午前4時55分にハノイ市ザーラム郡イエンビエン駅を出発した。イエンビエン駅で客車に乗っていたのは同市に住むN・T・T・Hさん(女性)の1人のみだった。妊娠3か月のHさんは「車酔いするので鉄道で」と語る。
その後、この列車の乗客は終着駅までに29人に増えた。列車の責任者N・H・Nさんによると、ハロン駅まで乗客29人と貨物4.6tを載せ、260万VND(約1万2300円)の売り上げだという。往復を足すと、同路線の1日の売上高は約400万VND(約1万9000円)になる。
これでは採算が取れないため、同路線のスタッフの多くは離職するか、無給休暇を余儀なくされている。1日働いて2日休むという状況のため、仕事がない時には塗装や建設の作業員などとして働いて生計を立てているという。
同路線は全長160km以上で、ハノイ市、紅川デルタ地方バクニン省、東北部地方バクザン省、紅川デルタ地方ハイズオン省、東北部地方クアンニン省の15駅を結ぶ。
運賃は8万VND(約380円)と安いが、平均走行速度は25km/h程度で、始発駅から終着駅までの所要時間はなんと8時間近くに達する。旧式の車両を使用し、エアコンも付いていない。自動車で国道5B号線を経由する場合、イエンビエン町からハロン市までの約153kmの所要時間はわずか2時間だ。
計画投資省と交通運輸省は高速鉄道と新幹線の建設案を提出しているが、鉄道への投資は資金力が限られているベトナムにとって「高嶺の花」だとして、鉄道よりも高速道路などを整備すべきとする意見が専門家からあがっている。