(C) zing, ブー容疑者 |
情報通信省傘下で携帯通信大手のモビフォン(MobiFone)が、デジタルテレビ放送サービスを提供する地場オーディオ・ビジュアル・グローバル(Audio Visual Global=AVG)株95%を購入し多額の公的資産損失をもたらした汚職事件で、公安省捜査警察機関は12日、AVG元会長のファム・ニャット・ブー容疑者(男・47歳)を逮捕した。
ブー容疑者は地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)のファム・ニャット・ブオン会長の実弟として知られている。
AVGの筆頭株主である同容疑者は、元情報通信相らに賄賂を渡したとして贈賄容疑を持たれている。これは刑事法第364条第4項に触れ、量刑は禁錮12年~20年と規定されている。
公安省捜査警察機関はまた、別の容疑で既に逮捕されている4人についても収賄容疑で追加捜査することを明らかにした。対象の4人は、◇元情報通信相(2011年~2016年任期)のグエン・バック・ソン容疑者(男・66歳)、◇前情報通信相(2016年~2018年任期)のチュオン・ミン・トゥアン容疑者(同・59歳)、◇モビフォン元社長のカオ・ズイ・ハイ容疑者(同・58歳)、◇同社元会長 兼 社長のレ・ナム・チャー容疑者(同・58歳)。4人は刑事法第354条第4項に触れ、量刑は禁錮20年~死刑と規定されている。
同機関はこのほか、信頼性の非常に低いAVGの企業価値評価をモビフォンに提供したAMAX評価投資コンサルティング(AMAX)の社長ボー・バン・マイン容疑者(男)と社員のホアン・ズイ・クアン容疑者(同)の2人を逮捕した。AMAXは、2015年3月末時点のAVGの企業価値を政府調査機関の評価の8倍にあたる16兆5650億VND(約810億円)と評価していた。
これにより、同事件に関与して逮捕された容疑者は9人となった。
同事件は、AVGが企業価値評価で大幅に水増しされ、モビフォンが同社株95%を実質的な価値を大きく上回る価格で購入したというもの。グエン・フー・チョン共産党書記長が非常に深刻な汚職事件として買収の取り下げを指導した。
ブー容疑者を含めて、モビフォンにAVG株を売却した者は、これまでにモビフォンから受け取った資金、これにより発生した利息、およびその他費用の全て(8兆7750億VND=約430億円)を払い戻している。一方、モビフォンはAVG株を売却した者にAVG株3億4466万株を返還した。
最終更新:2019年4月17日 13:00 JST