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伝統製法でヌクマム(Nuoc mam=魚醤)を製造する業者から猛反発を受けて適用が先送りされたヌクマムに関するベトナム基準(TCVN 12607:2019)の草案について、地場系大手食品メーカーでヌクマムの大量生産も手掛けるマサングループ[MSN](Masan Group)がその内容を操作した疑いが持たれている。
同草案は、農業農村開発省農産市場開発加工局が策定し、科学技術省が審査を担当したもの。
伝統製法でヌクマムを製造するファンティエットヌクマム(Ptfisaco)のレ・チャン・フー・ドゥック会長 兼 社長は、「2017年時点で策定を担当していたのは農林水産局で、私もファンティエットの伝統製法によるヌクマム企業協会を代表して草案策定委員会に参画していた」と述べた。
同氏によると、当初の草案には伝統製法で製造するヌクマムと大量生産のヌクマムを区別する項目があり、「伝統製法で製造するヌクマム」は、◇防腐剤、◇香料、◇香味料、◇増粘剤の4種類の成分を含んではいけないと定義されていた。
MSNが参画した2018年からは、伝統製法で製造するヌクマムと大量生産のヌクマムを区別する項目が無くなるなど草案の内容が大きく変わり、同氏も策定委員会から外された。一方で、ヒスタミン含有量に関する基準など、伝統製法による業者が不利になり、大量生産のメーカーが有利になる多くの事項が追加されたという。
国内では事件の真相を明らかにすべく捜査を行うことの必要性を強調する意見が多くあがっている。消費者の間でも「汚い手を使った」としてMSNのヌクマムの消費をボイコットする運動が広まっている。
なお、伝統製法で製造するヌクマムは、海に生息する魚(カタクチイワシ)を6~12か月にわたって塩で発酵させたもので、◇防腐剤、◇香料、◇香味料、◇増粘剤を使用していない。一方、大量生産のヌクマムは、伝統製法で製造された濃度の高いヌクマムを水で溶いたもので、上記4つの食品添加物を使用している。
こうした中、消費者が自分の望むものを選ぶことができるよう、「伝統製法で製造するヌクマム」と「大量生産のヌクマム」を区別してヌクマム業界の透明性を高める必要があると指摘されている。