(C) zing 写真の拡大. |
ホーチミン市と南中部沿岸地方ダナン市における公地などの公的資産の違法販売事件で、ハノイ市人民裁判所は1月30日、公安省元次官2人を含めた被告5人に判決を言い渡した。
「公務執行にあたり職権を乱用した罪」に問われていた不動産業界の大富豪ファン・バン・アイン・ブー被告(男・44歳)は禁固15年の判決を言い渡された。同被告は別の2つの事件でも合わせて25年の禁固刑を言い渡されている。
ブー被告は2009年から公安省の「諜報員」として起用され、「上佐(ベトナムで中佐と大佐の間にあたる階級)」に任命された。同被告が会長を務めたバックナム79建設(Xay dung Bac Nam 79)とノバ・バックナム79(Nova Bac Nam 79)の2社も公安省傘下の組織として扱われていた。
公安省の上級幹部の支援を受けて、同2社は「諜報活動のため」としてホーチミン市とダナン市の地方自治体、そして同省の管理する複数の不動産を、時価を大きく下回る価格で取得し、国に1兆1600億VND(約56億円)の損失をもたらしたとされる。問題の資産は取得後に転売または営利目的の不動産開発に使用されていた。
ブー被告を「積極的に支援した」とされる諜報総局元副総局長のファン・フウ・トゥアン被告(男・64歳)、および同総局B61局元局長のグエン・フウ・バック被告(男・56歳)の2人は、いずれも禁固5年の判決を言い渡された。トゥアン被告とバック被告は別の事件でも禁固7年と同6年の判決をそれぞれ言い渡されている。
また、諜報総局元総局長(2009年~2011年)・公安省元次官(2011年~2016年)のチャン・ベト・タン被告(男・64歳)、同省元次官(2014年~2018年)のブイ・バン・タイン被告(男・61歳)の2人は「責任を果たさず甚大な被害をもたらした罪」に問われ、禁固3年、禁固30か月の判決をそれぞれ言い渡された。
同2社が違法に取得した不動産について、ハノイ市人民裁判所は被害克服のため7件の没収を決定した。ホーチミン市1区ティーサック通り(Thi Sach)にある土地については、既にマンションが建設中で物件購入者からも代金を受け取り済みのため、物件購入者の権利を保護し紛争を回避するため建設の継続を認めた。
なお、公安省上級幹部の支援を受けてブー被告は、事件摘発直前の2017年12月に違法パスポートで海外に逃亡したが、国際指名手配されて2018年1月にシンガポール当局に身柄を拘束され、その後ベトナム当局に移された。