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ベトナム戦争に諜報部員として従軍した際に捕虜になり、米軍の残酷な拷問に耐え抜いて生還したベトナム人民軍の英雄、グエン・バン・トゥオン少佐が13日、死去した。80歳だった。
トゥオン氏は1938年に東南部地方タイニン省で革命一家の子として誕生した。母親は情報連絡員で、1946年に敵に捕まり獄死。父親も諜報部員で1959年に獄死した。トゥオン氏は1961年に偵察部隊に配属され、ボー・バン・キエット氏(当時のT4サイゴン・ザーディン地区党書記、後の首相)の護衛を務めた。
その後諜報部員となり、1969年に機密文書を運搬中に東南部地方ビンズオン省で米軍に捕縛された。米軍は多額の現金や乗用車、別荘などを交換条件にして情報を聞き出そうとしたが目的を果たせず、拷問に切り替えた。
拷問は過酷を極めた。足の指を1本ずつ折り、次いで両足の甲を打ち砕いて歩けなくした。それでも協力しないため、米軍は3か月間に6回にわたってトゥオン氏の両脚を切り落とす拷問を続けた。ついには敵に「負けた。お前は鋼鉄の生物だ」と言わしめたとされる。
その後監獄に収監されていたが、1973年にベトナム和平協定が結ばれ、ようやく解放された。1978年にベトナム人民軍英雄の称号を贈られている。