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1998年4月30日にホーチミン市ツーズー産婦人科病院で、国内で初めての体外受精により誕生した3人の赤ちゃんが今月末に20歳を迎える。現在は3人とも大学生で、ファム・トゥオン・ラン・ティさんは奨学金を得て日本へ留学中、マイ・クオック・バオさんとルウ・トゥエット・チャンさんはベトナムで学んでいる。
同病院の不妊治療科の元科長で同時の治療チームのメンバーでもあったホー・マイン・トゥオン医師によると、この不妊治療の実施にあたり機械設備や医療要員の配備、法的手続き、資金調達など周到に準備が行われ、実施期間、動員人数においても同病院で歴史的なプロジェクトだったという。
同病院の元医院長のグエン・ティ・ゴック・フオン医師は、プロジェクトについて当時は世論や医療関係者からも反対意見が出され、奇形が生まれることを危惧して体外受精の禁止を求める文書を国会に提出した医師もいたという。
プロジェクトでは、1997年7月にフランスで活動するベトナム系産婦人科医が率いる同国の専門家4人が訪越し、ツーズー産婦人科病院の産婦人科医、発生学の専門家、実験の技術者、人工授精を専門とする看護師に技術移転がされた。
当時ベトナムではまだ不足していた医療器具や薬品もフランスから持ち込まれた。何度も実験を繰り返し、ベトナム人の専門家が対外培養させた受精卵が正常に発育する確率をフランスの専門家と同等までに引き上げることに成功した。
国内初の体外受精の赤ちゃん誕生から20年が経ち、これまでに約4万人の赤ちゃんがツーズー病院のほか中央産婦人科病院や郵便病院、ミードゥック病院、バックマイ病院、ハノイ産婦人科病院などで体外受精により誕生している。現在ベトナムは東南アジアで最も多く体外受精を実施しており、成功率は30~35%とされ、海外から治療に訪れる患者も多い。