(C) Pham Dung, Nguoi Lao Dong 写真の拡大. |
ホーチミン市人民裁判所で2017年半ば、違法薬物の運搬の罪で起訴された南アフリカ国籍の被告の公判が開かれた。ところが閉廷後にこの被告が突如泣き出し、自身は精神分裂症だとして精神鑑定を要求したという。同市人民裁判所によると、こうした外国人事件の公判は通訳人の招聘に大幅な時間と経費が掛かり、非常に困難だとしている。
特にマイナー言語を母国語とする被疑者や被告となるとなおさらだ。最近では強盗罪で起訴されたイラン国籍の被告の通訳人を探したものの見つからず、取り調べから公判のために最終的に駐ベトナム・イラン大使館から通訳人を招聘した。
通訳人の要望に沿った宿泊先や食事、移動に経費がかさむほか、取り調べや公判の日時も全て通訳人のスケジュールに合わせなければならない。このため、たとえ軽犯罪だとしても捜査や勾留が長引き事件終結に時間がかかる。
また、ベトナムと被疑者または被告の母国との法律の違いや、法律に関する理解度なども難題だ。現在のところ通訳人は外国語に精通しているか、被疑者または被告の母国語か共通語が使われる国・地域で教育を受けた法律の教育者が担っている。
しかし現状では、ベトナムの刑事訴訟法では通訳人に関する規定が厳密にされていないほか、司法通訳の組織も存在しない。本来ならば法律用語など一定の知識を携えていて初めて正確に通訳ができるが、外務局や出入国管理機関、通訳会社から招聘する通訳人による通訳の質は保証されていない。
さらに、通訳人と被疑者または被告人の会話の内容は当事者にしか理解できないため、仮に通訳人が虚偽の事実を通訳した場合や守秘義務を犯した場合も、そのことを証明し罰することも困難だ。
同市人民裁判所の元所長のグエン・ティ・トゥ・トゥイさんによると、たとえ被疑者または被告の母国語がマイナー言語で、本人はベトナム語に精通していたとしても法廷では通訳を介すこと、裁判官や弁護士、警察など公判に参加する者はベトナム語を使用することが規定されている。
これまでにトルコ語やブルガリア語、ペルシア語、スペイン語などを含む20か国語の法廷通訳を請け負ってきた市内通訳会社は、法廷で被疑者または被告がベトナムでは馴染みのない母国の専門用語を使用した場合や、わざと質問と噛み合わない回答をする場合などに通訳人はとても苦労すると話す。
このため法廷通訳料は非常に高額で、当局で決済が下りないこともある。これでスケジュールを空けておいた通訳人は仕事が流れてしまい、不満を漏らす通訳人もいるという。