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幻覚剤の一種リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)を染み込ませた1.5cm四方の紙(ペーパー・アシッド)の売買や使用が若者の間で広まっており、保護者達から心配や不安の声が上がっている。正方形に切られた紙には有名人のイラストやポップな絵柄が描かれ、その形状からベトナムでは「切手シート」と呼ばれている。取引価格も数ピースからなる「切手シート」1枚が30万VND~50万VND(約1376円~2294円)と安価で、安易な気持ちでLSDに手を出す中高生もいるという。
ホーチミン市精神病院のフイン・タイン・ヒエン医師によると、最近様子がおかしいと母親に連れられた13歳の女の子を診察したところ、毎日1~10枚の「切手シート」を口に含んでいたことが分かったという。母親が近づくと大声で叫び逃げ回る女の子に、家族は鬱や思春期特有の精神的な問題だろうと考えていた。しかし、これはLSDの幻覚作用で、女の子には母親が牙の生えた化け物に見えていたのだ。なかにはLSDを使用したことで、自分が地上にいると錯覚したのか、または自分が鳥かスーパーマンかのように錯覚したのか高所から飛び降り死亡したケースもあるという。
ヒエン医師はLSDの危険性について、体重50~60kgの人であれば0.001mg摂取すると12時間にわたり興奮状態が続き、強烈な幻覚作用を引き起こす薬物であるほか、LSDが薬物検査キットに反応しないため、被験者がLSDを使用していても結果が陰性になることを指摘している。
このことからヒエン医師は保護者達に対し、子供に高額なお小遣いを与えないこと、また急に何かを怖がる、異常な行動をとるなど日常の様子に変わったところがないか注意深く観察することを呼び掛けている。