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AP通信の報道写真家でベトナム系米国人のニック・ウット(ベトナム語名:フイン・コン・ウット=Huynh Cong Ut)氏が撮影したベトナム戦争の報道写真「戦争の恐怖(The Terror of War)」が、フェイスブック(Facebook)の検閲規制により削除されたことが話題になっている。
「戦争の恐怖」は、1972年6月8日、東南部地方タイニン省チャンバン郡で南ベトナム軍と北ベトナム軍が交戦した際、南ベトナム軍の戦闘機が投下したナパーム弾による爆撃から逃れる少女と村人たちを写したもので、中央に当時9歳の裸の少女が写っている。この写真は1973年、ピューリッツァー賞ニュース速報写真部門を受賞した。
ノルウェー人記者がこのほど、最も大きな反響を呼んだ戦争写真の1枚として同写真を自身のフェイスブックページに掲載したところ、「裸の人間が写っている」ことを理由として、フェイスブック側に投稿を削除されたほか、24時間にわたりアカウントを凍結された。
これが欧米諸国のマスコミの間で話題になり、多くの人々が自身のフェイスブックページに同写真を掲載するなどしてフェイスブックの対応に反対したが、いずれも同じく投稿の削除及びアカウント凍結の処分を受けた。
報道関係者だけでなく、一般の人々からも「ポルノ写真と戦争を象徴する写真を区別できていない不適切な対応」として、フェイスブック側を強く非難する声が多く上がった。これを受けて、同社は9日、問題の検閲に関する決定を破棄し、投稿も削除前の状態に戻すことを明らかにした。