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北中部地方ハティン省、クアンビン省、クアンチ省、トゥアティエン・フエ省の沿岸一帯で4月に発生した魚の大量死について、台湾プラスチックグループ(フォルモサ・プラスチック・グループ=Formosa Plastics Group)傘下のフォルモサ・ハティン・スチール(Formosa Ha Tinh Steel Corporation=FHS)は、環境汚染を引き起こしたことに責任を負い、総額5億USD(約510億円)を支払うことなど5つの項目を公約した。
具体的な公約の内容は、◇政府及びベトナム国民に謝罪すること、◇経済損失を受けた漁民及び海洋環境汚染処理に対する賠償金として総額5億USD(約510億円)を支払うこと、◇排水システムを改修し、再発防止策を講じること、◇関連省庁並びに中部の地元当局と協力し、海洋環境の保護策を講じること、◇前述の4項目を正しく十分に実行すること、の5つ。謝罪については、6月30日に開かれた記者会見の場で、FHSの陳源成董事長が送った謝罪のビデオメッセージが公開された。
刑事事件として立件する可能性について、マイ・ティエン・ズン政府官房長官は記者会見で、「国の投資環境にも影響するため、まだ検討している段階」と否定しなかったが、「FHS側は責任を負い、損害の修復を公約しており、酌量の余地はある」との政府の方針を明らかにした。一方、FHSは、「ベトナム政府の調査結果を真摯に受け止め、損害の修復に努めると共に、工場の活動を継続してベトナムの持続的な成長に貢献していきたい」としている。
なお、ハティン省人民委員会は、魚大量死の損害評価評議会を発足することを明らかにした。同評議会は、同省副主席、資源環境局長、農業農村開発局長、労働傷病兵社会局長、財政局長のほか、影響を受けた郡レベルの人民委員会主席から成る。同評議会は、郡レベルの被害評価評議会の発足を指導し、各郡の報告をもとに早期に省全体の損害を評価する。更に、各地の実情を踏まえた上で、損害の修復及び産業の安定に向けた解決策を政府に提案する。
30日の記者会見で、魚の大量死は、FHSがハティン省キーアイン郡ブンアン経済区で展開する一貫製鉄所の排水システム試運転過程での違反と事故に起因するとの結論が公表された。4月1日から5日までの間に、電気事故で同製鉄所のコークス生産分工場の排水システムが作動せず、未処理の廃水が海に流れ出たという。廃水により、毒素を含む化合物が形成され、海底に沈んだ同物質が海流に乗って南へ移動し、魚を大量死させたと結論付けられている。