株式会社博報堂(東京都港区)は、「Global HABIT(グローバルハビット)レポート2015年Vol.3」として、ASEAN7都市を対象とした中間層女性の消費意識や買物行動、ブランド意識などの消費スタイルに関する調査レポートを発表した。
調査都市は、◇シンガポール、◇クアラルンプール、◇バンコク、◇メトロマニラ、◇ジャカルタ、◇ホーチミン市、◇ヤンゴンの7都市。調査対象は15~54歳の女性で、サンプル数は1万0943人(ホーチミン市1856人)。調査年度は2010~2014年の5年間となっている(ヤンゴンは2013年のみ)。
「Global HABIT」は、グローバル市場でのマーケティング戦略への活用を目的としたオリジナル生活者調査で、2000年から毎年アジアと欧米、中南米の主要35都市で中・上位収入層を対象に実施しているもの。
同レポートによると、ホーチミン市の女性の消費スタイルは、「ブランド志向が強く、衝動買いや新商品志向が強い。こまめに店に行くなど情報収集にも熱心で値段が高くても気に入れば買う。他者とは違うことを意識し、多くの人が同じものを持つと興味を失う」傾向が強いという。
同レポートでは、こうした傾向を「高感度な自己表現派」として分類し、構成比はASEAN7都市全体の19.0%に対して、ホーチミン市では41.0%に上り、他都市と比べても群を抜いて高い割合となっている。このような女性に対する消費活性化には、ワンランク上の商品や、「ちょっといいな」と思わせる広告やプロモーションが効果的だという。
ホーチミン市の女性に「高感度な自己表現派」の割合が高い背景として、◇長く続いた戦争とその後の社会主義政権を通じて女性の社会進出が進んだこと、◇1986年に始まったドイモイ(経済自由化)政策以降の近代化と高度経済成長によって女性の個人的な自立がさらに進んだこと、◇所得の増大と格差の拡大から、個人の欲求に基づく衝動的な消費、他人との差別化や個人的に目立ちたいという意識が強いこと、などが挙げられている。
このほかのホーチミン市の女性の消費スタイル傾向は、◇移り気なトレンド・フォロワー:21.7%、◇賢く手堅い合理派:15.5%、◇家族コミュニティー優先派:10.9%、ブランド志向コスモポリタン:10.9%となっている。