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ユネスコ(国連教育科学文化機関)センター長キショール・ラオ氏はこのほど、ベトナムのユネスコ駐在大使ズオン・バン・クアン氏及びベトナムユネスコ国家委員会に対して、ハノイ市にある世界文化遺産タンロン城王宮跡のホアンジエウ通り18番地遺跡地区における新国会議事堂建設が違反行為であるとし、これについて説明を要求した。
ユネスコは最近、同遺跡地区内で国会議事堂が建設されていることに対する意見を多数受け取ったとし、この違法な建設が同遺跡地区の価値に大きな損害を与えることや、関連当局の遺跡管理の弱さが露呈したことなどを指摘している。
これに先立ち、ユネスコ・ベトナムのグエン・タイン・ソン会長は、建設省、文化スポーツ観光省、同市人民委員会に対して、同遺跡地区での違反行為に対する調査と問題処理を急ぐよう求めた。更に、万が一迅速に対応されなかった場合、ユネスコが専門家を派遣し違反調査を行う可能性があると警告した。
タンロン城王宮跡は、2002年に新国会議事堂建設予定地で行われた緊急発掘調査によって発見された巨大な宮殿遺跡。ベトナム最初の統一王朝である李朝(リー朝)をはじめとする歴代王朝の遺構が重なり合った、ベトナムの歴史上重要且つ貴重な遺跡であることが明らかになり、ベトナム政府は同遺跡の保存を決定した。ベトナム政府の要請により日本政府は、考古学や建築学など多分野での研究、遺跡や出土遺物の保存、遺跡の保存計画の作成などの支援を行ってきた。建都1000年紀にあたる2010年、ユネスコ世界文化遺産に登録されたが、世界遺産となった後も同地における新国会議事堂建設は実行され、遺跡の保存や管理が適切に行われていないとして問題になっている。