(C)Zing、コンフン島に今も残るココナッツ教の聖地 写真の拡大 |
ベトナムに「ズア(ココナッツ)教」が誕生してから40~50年になるが、宗教として生活に根付いているとは言い難い。他の宗教のように教義があるわけでもなく、指導者もいないことが原因のようだ。
ズア教の創始者は、1910年にメコンデルタ地方ベンチェ省で生まれたグエン・タイン・ナム氏で、1990年に他界している。ナム氏は事業に失敗し、全てを捨てて修行生活に入ったとされる。修行の方法は、ココナッツ(ベトナム語で「ズア」と発音)ジュースを飲み菜食に徹するというもので、この特徴から「ズア教」と呼ばれるようになった。
ナム氏は弟子にココナッツの木を切らせ、その上に八角形の板を置いてその上で暮らした。メコンデルタ地方ティエンザン省を流れるティエン川の中洲コンフン島に移ってからも、地上20メートルの木の上で暮らした。その跡は今も残っていて観光名所になっている。
ベトナム戦争中の1968年にはコンフン島が兵役忌避者の避難場所になったが、南ベトナム政府は何もできなかった。この噂を聞きつけて、グエン・タイ・ホアン氏もナム氏に弟子入りした。この時からホアン氏の修行生活が始まった。