(C) tienphong, 20年ぶりに故郷に戻ったティエウ・ベト・タオさん 写真の拡大 |
20年前にメコンデルタ地方キエンザン省フーコック島沖で漁獲中に遭難し、以来行方不明になっていた男性が最近になって生還し、地元で大きな話題となっている。
行方不明になっていたのは、ティエウ・ベト・タオさん(55歳)。カンボジア・ベトナム戦争時代は、兵士としてカンボジアに渡り、帰国後は地元の北中部クアンガイ省で漁業を営んでいた。北中部は毎年年末になると、海が荒れて操業できないため、そんなときは南部まで行って操業していたという。遭難したのも南部で操業していたときのことだ。
タオさんは、1994年のある日、フーコック島沖で漁獲中に海に落ちて行方不明になった。何年経っても見つからなかったため、残された家族は、タオさんが遭難して死んだものと思い、仏壇に彼の写真を飾り、毎日線香を焚いて冥福を祈っていた。
タオさんは漂流中のことや行方不明だった期間について、多くを語ろうとしないので詳細は不明だが、遭難後は運良く助かって、カンボジアまで辿り着くことができたという。戦争中に過ごした地を再訪し、郷愁の念を覚えたタオさんは、カンボジアで漁師として暮らし始める。いつか帰国できる日を信じて、妻子のためにお金を貯めていたが、漁業では大した稼ぎにもならず、町から町を点々とする生活を送った。
3年前、タイ沖で不法漁獲をしていた際に警察に捕まったが、身分証明書を所持していなかったため、その後もずっと拘留されていた。今年11月になって、やっとベトナムに送還されることになり、実に20年ぶりに故郷に帰り、家族らと再会を果たした。この20年の間にすっかり大人になった4人の息子は、父の後を追って漁師になり、それぞれの家計を支えるまでに成長していた。