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ハノイ市ハイバーチュン区チャンスアンソアン通りのチョホム市場沿いの歩道に「店」を出し、生茶葉で入れた緑茶を無料で飲ませてくれる女性がいる。グエン・ティ・ホン・センさん(65歳)だ。29日付VNエクスプレスが報じた。
店といってもテーブルも椅子もない。コンロとやかんにコップを洗う水を入れた洗面器、それに生茶葉を入れた箱があるだけだ。売り物は生茶葉だが、商売はそっちのけでお茶を奉仕する。センさんにとっては、自分の入れたお茶を飲んだ人がいつも立ち寄ってくれることや、客の家族や仕事、故郷の話を聞くことが喜びだという。
センさんが今でもよく覚えているのは、ベトナム語を学習中の日本人とフランス人の学生6人とのやりとりだ。何を売っているのかに興味を示すが、発音が悪くて話が通じず紙に書いての会話になった。彼らはお茶を飲み終わると20ドル(約1970円)札らしき紙幣を渡そうとしたが、センさんは受けとらず「ありがとう。私のおごりよ」と書いて示した。
センさんは10年余り前に夫を亡くし、精神を病んだ30歳過ぎの娘と共に暮らしている。息子は家族を持って独立したが援助できるほどの稼ぎはない。センさんは、アオザイ販売店の清掃員をして得られる僅かなお金や国から支給される娘への補助金でなんとか暮らしている。