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ハノイ市のホアンキエム湖畔のゴックソン(玉山)祠堂近くで、60年近くペンに彫刻による名入れサービスをしている男性がいる。レ・バン・クイさんで年齢は80歳近い。ハノイで最後の名入れ彫刻家と見られている。9日付VNエクスプレスが報じた。
かつて戦時期にはペンが貴重品で、名前や生年月日などを彫ったペンを戦場に赴く兵士に贈ったものだった。当時は出征前の若者がホアンキエム湖に遊びに来た時に、ペンに名入れをすることが当たり前のように行われ繁盛していたという。
クイさんはもともとは靴の職人だった。仕事が暇になって名入れ彫刻に転職したのが20歳の時。2か月間練習すると、すぐに「ペンに彫刻します。たったの2分」と看板を掲げた。料金はフォー(ベトナム風うどん)1杯の3分の2ほどで、十分食べていけたという。名入れしたペンのおかげで戦死した息子の墓が見つかったと、感謝されたこともあった。
今ではすっかりお客は減ったが、6人の子供達が成長し支えてくれているので、暮らしに困ることはない。自分の仕事が人に喜ばれるのがうれしいと、クイさんは健康の許す限りこの仕事を続けようと思っている。