(C) Vnexpress, セオムとして働くレ・ホン・ハーさん 写真の拡大 |
交通警察官に対して「高圧的な態度」や「日常的な賄賂の受取り」などマイナスのイメージを抱いているベトナム人は多い。しかし、全ての交通警察官にそうしたイメージが当てはまるはずも無く、実直に働いている人も大勢いる。そんな彼らの生活は決して楽なものではない。安い月給では禄に貯金も出来ず、家族を支えるため、退職後にタクシーやセオム(バイクタクシー)の運転手などになる人も少なくない。4日付VNエクスプレスが報じた。
ハノイ市で交通警察官として勤務していたレ・ホン・ハーさん(55歳)は定年退職の翌年からセオムとして働いている。今ではどこからどう見ても完全に“セオムのおやじ”。交通警察官だった面影など微塵もない。
交通警察官時代の月給は600万ドン(約2万2600円)で中流程度の所得だった。しかし、定年退職後に長女の大学進学と次女の高校進学が重なったため、どうしてもお金が必要になり、家族にも内緒でセオムの仕事を始めた。今の仕事を始めた頃は恥ずかしくてたまらなかったという。かつての同僚に見られたときは、「家族を迎えに来たんだ」と誤魔化していた。
もちろん、ずっと隠し続けられるわけもなく、結局はセオムをしていることがばれてしまった。その時の家族や同僚の反応は、自分が予想していたものとは正反対のもので、尊敬の眼差しを向けられたという。
今では子供たちも社会人となり、家に仕送りをしてくれるようになったが、ハーさんは慣れ親しんだ職場に愛着を感じるようになり、セオムの仕事が辞められなくなった。交通警察官時代の経験を活かして、客に交通規則を教えたり、バイクに乗った強盗犯を捕まえたりと、地元の“頼れるおやじ”として活躍している。