ハノイ市の賑やかな中心部からそう遠くない堤防を一歩越えると、そこには異なる世界が広がっている。ホン川(紅河)の堤防の外側(川のある側)には暮らすのがやっとという、戸籍もない家族たちの集落がある。25日付VNエクスプレスが報じた。
ファオ集落のグエン・バン・チョン集落長によると、ここでは23世帯が暮らしており24人の子供がいる。ほとんどの子供たちは中学校を卒業する前に両親の手伝いをするため学校をやめてしまう。両親は廃品回収や日雇いの仕事をしており、子供たちはそれを継ぐことになる。
この集落の住人オアインさんは、寒さをしのぐためといって薪を拾っていた。夫は愛人を作って故郷に帰ってしまった。小学校3年生の娘フオンちゃんにとって旧正月(テト)の楽しみは、ボランティアの人たちが分けてくれるバインチュン(大きなちまき)を食べることだけだ。夢なんて持てないという。オアインさんは「テトなんてうちには関係ない。大晦日の夜中まで廃品を拾って歩き、テトも2日目から稼がなければ親子2人食べていけない」と話した。
フオンちゃんの遊び仲間の兄弟フンちゃんとズンちゃんも同じ集落で生まれた。2人は町で見かけた飛行機のおもちゃが欲しいと夢を語ったが、それがかなうのはかなり難しいだろう。