陽暦元旦の日曜日、記者は近所の知り合いを尋ねてホーチミン市内のある薬屋(西洋薬)に立ち寄った。知人の店員が言うには、「今日は週末、いろんなお客が「特別な薬」を買いにやってくるよ」。「特別」とはどのように「特別」なのかと問うたところ、「まあまあ見てなさい、すぐにわかるから」と知人は笑った。
夜6時半、15歳ぐらいの赤い服を着た女の子が来店した。ちょうど同じ時、ある1人の男性も店に入った。その女の子は何やらもじもじとしており、女性店員が「何を買うんだい?」と聞いても男性をこっそりと指差しただけで、黙りこくっていた。店員は女の子が何を言いたいかを理解し、それ以上何も問わないことにした。男性が店を出ると女の子はようやく口を開き、「緊急避妊薬をください。もう2週間も生理がないんです。妊娠を止めることができるんだったら、何錠でも飲みますから!」と言った。
店員が、「2週間じゃもう手遅れだわ。病院に行くしかないわね」と言うと、女の子は落ち込んで薬屋を出たが、店員が言ったことを信じずに他の薬屋にも行ってみようというような顔をしていた。「あの子はきっとああいう薬を初めて買いに来たのね。買ったことがある子なら『生理を遅らせないようにする薬をください』って聞くはずだからね。」と店員は言う。
夜8時、数名の男女が店の前で騒いでいた。その中の数名が店に入り、注射針やバイアグラはあるかと尋ねた。「そんなものはうちには置かないわよ」とばかりに店員が首を振ると、金髪の少年が今度は避妊薬と高額な極薄コンドームを買おうとする。仲間の1人が、「やめとけって。ブンタウに着いたらそこで買えばいいじゃん。ブンタウにはどんな薬だってあるぜ。女の子を待たせないように早く行こう。」そう言うと、彼らは風のように去っていった。
夜9時、「特別な薬」を買っていく客はだんだんと増えていった。精力剤を購入した男性から、「妻との関係を修復するための方法」を深刻な顔で尋ねられ、未婚の女性店員たちが顔を真っ赤にすることもあった。夜11時、もう店を閉めようかとしているときにも、若者たちが連れだってコンドームを買いに来た。
薬屋の店員は、「まだ若い子達もこういった薬を買いに来る。あの子らがどこで何をしているのか両親は知っているのかね?でも、事前に薬屋に来てコンドームや緊急避妊薬を買って、手段を講じるだけましだよ。望まない事態になってから緊急避妊薬を買いに薬屋駆け込むよりはね。あの子らはきっと緊急避妊薬ならどんなものでも飲めばいいって思っているんだろうね。現実はそんなに甘くはないんだけどさ。」と不安そうに言った。