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ジュリエット・バオ・ゴック・ドーリン インタビュー
~作品内で存在感を見せた女優は今作品が出演2作目~
作品内にメインで登場する3人の女性のうちの1人を演じるのが、ジュリエット・バオ・ゴック・ドーリン(Juliet Bao Ngoc Doling)。映画祭で日々イベントに参加し、映画を鑑賞するなど忙しい中、取材に応じてくれた。
父親が英国人で母親がベトナム人のドーリンはハノイ市出身だが、その後ホーチミン市の高校を卒業した。全額奨学金を得てオーストラリアの大学で動物学と動物科学を学んでいるという。舞台あいさつでは「ベトナム語と英語の通訳を通すと時間がかかってしまうので」と流ちょうな英語であいさつしたり、質問に答えていた。
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てっきり過去に多くの作品への出演経験があるのかと思いきや、実は今作品が2作目だ。「1作目は2016年に発表されたショートムービーで、『輝かしき灰』は私にとって最初のビッグフィルムでした」。
上映後イベントで、チュエン監督が彼女を抜擢したきっかけが、その1作目だと明かしている。チュエン監督が「(水に浸かるシーンがあるので)彼女は泳ぐことができるかと聞いたら、学校で水泳をしていたから大丈夫だった」と笑っていた。
ただ、キャスティングされてから実際の撮影までは時間がかかったという。
「14、15歳の時に監督と会ったのですが、そこから実際に撮影が始まるまで4年ありました。その間、ずっと脚本を読んだり、撮影前に演じる役と同じような設定を経験しました。撮影時は18歳でした。映画祭初日の上映で、初めて完成作品を見て、とてもエモーショナルになりました」。
今は大学生であり、動物の調査研究の仕事に関心がある。卒業後に俳優という職業を選択しないのかと問うと、「今はいろんな可能性を試しています。ただ、私は演じるのが好きですね。今はないですが、もしオファーがきたら『イエス』と答えるでしょう。両方ともやってもいいのかなとも思っています」と答えた。
今回初めての訪日。「人々が親切で素晴らしいです。地下鉄に乗って、空港からホテルに行く時に迷ったのですが、『スミマセン』と日本人に助けを求めたら、丁寧に行き方を教えてくれて感動しました」。食事も日本食を楽しんでいる。「名前を忘れたのですが・・・丸くて、中にタコが入っていて・・・とても美味しかった」と写真を見せてもらったらタコ焼きだった。また、「白い魚を開いて焼いたのも食べたのですが、スイーツな味でこれもとても美味しかった」と写真を見たらウナギのかば焼きだった。
さらに、食べ物ではないがトイレの温水洗浄便座の写真も見せてくれ、興味深かったそうだ。週末には市内観光をする予定で、「こっちで知り合った人達が、有名な交差点に連れていってくれるそうです」と楽しみにしていた。恐らく渋谷駅前の交差点のことだろう。
東京国際映画祭に参加し終わったら、オーストラリアに戻るが、「輝かしき灰」は今後も別の国際映画祭に出る予定があるようで、その際にはまた帯同するかもしれないという。その際には「ホーチミン市に寄りたい」と話した。
東京国際映画祭のコンペティション作品に選ばれたことで、彼女にも注目が集まっていくだろう。「まだ特に出演予定はない」というが、期待したい。
(C) 大塚淳史
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筆者プロフィール
大塚淳史(おおつか あつし)
スポーツ報知で約4年働いた後、中国の上海に移住し5年間在住。現地のフリーペーパー、中国メディア日本語版、繊維業界紙上海支局で勤務。帰国後、日刊工業新聞を経てフリーライターに。週刊誌やネット媒体などで、経済、スポーツ、中華圏や東南アジアに関する記事を執筆する。コロナ前までは年2回、ベトナムを訪れていて、2022年8月に2年半ぶりにベトナム旅行を楽しんだ。