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- ビンファスト、24年に8.7万台以上納車
- 海外メーカーもシェア拡大を本格化
- EVへの移行、大気環境の改善にも期待
環境意識の高まりや、電気自動車(EV)に対する登録料免除など政府の強力な支援策が奏功し、ベトナムのEV市場はこの3年間で急速に拡大した。
2022年3月から12月までの期間におけるEVの月間登録台数は平均404台程度だったが、2023年には月間2440台へと増加し、年間登録台数は2万9281台に達した。さらに2024年には月間登録台数6648台、年間登録台数7万9781台と爆発的に増加し、前年比2.7倍の成長を遂げた。
市場を牽引するのは、地場コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のEVメーカーであるビンファスト(VinFast)だ。同社は2024年に8万7000台以上を納車し、2025年1月にはさらに1万台を市場に供給した。
一方で、中国の比亜迪汽車(BYDオート=BYD Auto) 、英国のスポーツカーブランドで、現在は中国・上汽集団(上汽集団=SAIC)の子会社となっているMGモーター(MG Motor) 、ドイツのメルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)、BMW、アウディ(Audi)などの海外メーカーも、ベトナム市場でのシェア拡大を本格化させており、消費者にとって選択肢が広がりつつある。
EV市場の急成長は、EVの持続可能な発展を示すだけでなく、企業のさらなる投資拡大や事業成長を促進する要因ともなっている。
オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学(RMIT大学)の調査によると、ベトナムのEV市場は今後5年間で50~70億USD(約7500億~1兆0400億円)規模に拡大すると予測されており、国内外の企業にとって大きなビジネスチャンスになると見込まれている。
なお、ハノイ市やホーチミン市では大気汚染が深刻化しており、大気質指数(AQI)が「健康に非常に悪い」レベルに達する日が頻発している。その主な原因の1つが化石燃料を使用する車両の排ガスとされており、EVへの移行は大気環境の改善と、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた重要な対策として期待されている。