ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

第12回【知ってる?ベトナムのお盆】「鬼月」と「ブラン祭」とは?

2020/08/11 11:20 JST配信

みなさん、こんにちは!ホーチミン在住のベトナム人 ICONIC のHanです。コラム 「【日本人が知らない】ディープなベトナム案内」 では、ベトナムでの旅行やグルメ・文化・ショッピング・その他おもしろ情報を発信していきます。

時が過ぎるのは早いもので、旧暦上で1年の半分が過ぎました。新暦上では8ヶ月が経ち、2020年ももうすぐ終わりますね。ところで皆さんは、今年の 「鬼月」 をどのように過ごしますか?鬼月とは、旧暦7月(新暦では8月中旬~9月中旬頃)を指します。亡き魂(鬼)がこの世に戻って自由に徘徊するといわれており、ベトナムのお盆 「ブラン祭」(Vu Lan)も毎年旧暦7月15日に行われます

なぜ鬼月というのか?鬼月には何をして過ごすのか?今回はベトナムならではの鬼月の風習について紹介します。

ベトナムの鬼月は、鬼が現世にやってくる!?

まずは、鬼月に由来する話をご紹介しましょう。みなさんもご存知の通り、ベトナム文化は中国の影響を受けています。鬼月もその一つで、道教(中国三大宗教の一つ:儒教、仏教、道教)におけるお釈迦様に起源があります。言い伝えによると、地獄の王である 閻魔大王(えんまだいおう)が鬼門を開き、旧暦7月2日~14日までは先祖の霊(鬼)がこの世に戻ってくる のです。その間、現世の人々は不運を避けるために、お粥や塩などを供えなければなりません。

鬼門を開けるよう命令する閻魔大王

引用:L?ch ngày T?T

鬼を避けるには、お供え物?

経典「救抜焔口陀羅尼経」にも鬼にまつわる話があります。ある時、釈迦の十大弟子である阿難(アーナンダ)が座禅をしていると、ひどく痩せて口から火を噴いている餓鬼が現れたそうです。彼は阿難に、「三日後にお前は死んで、私のように生まれ変わる。それを避けたければ、餓鬼道のあらゆる衆生に対して食べ物を施し、三宝を供養せよ」と言いました。

口から火を噴く餓鬼

引用:VietNamNet

それを聞いて、阿難は釈迦仏に助けを求めたところ、釈迦仏は「一器の食物とともにお経を唱えれば良い」と説きました。実際にその通りにした阿難は、無事生き延びたそうです。これが先祖への供養として一般に広がり、鬼月には霊(鬼)にお供えをするという風習ができました。

また、亡き人の魂の行先は生前の行いによって決まり、生まれ変わって新しい人生を歩む、地獄へ落ちる、またはあの世をさ迷うことになる、という言い伝えもあります。もちろん、信じる人も信じない人もいますが、ベトナムには「 Co tho co thieng, co kieng co lanh (“健康的な食事には神が宿る”のような意)」の言い伝えがあるため、この風習は今もなお続いています。

お札を取り合う「生きた鬼」たち

毎年旧暦7月2日~14日頃になると、各家庭では鬼へのお供え物として、お香やロウソク、鶏肉、豚肉、豆腐、落花生、お菓子などを用意します。飢えた鬼を助け、現世で悪さをしないように…という意味が込められています。

供養を終えたら、それらを配るか燃やすかするのですが、中にはお金を配る人もいて、1000万VND(約4万6000円)分のお札をばら撒く人もいます。そのため、毎年7月になると、お札を撒く家を探して虫取り網(長い竹竿に網を付けたもの)を持った子供や若者が集まり、街中は非常に混雑します。時には供養の前に供え物を盗られてしまうしまう家もあり、私たちは彼らを「生きた鬼」と呼んでいます。

鬼へのお供え物

引用: SOHA

お金を取り合う人々

引用: Giao thông

最近ではお金を撒く家も減りましたが、毎年恒例のイベントということもあり、楽しみにしている人も多いのです。私も小さい頃にお金を拾いに行ったことがあります。但し、人混みに巻き込まれて怪我をする恐れもあるため、もし見学に行く方は十分注意してくださいね。

ベトナムのお盆「ブラン祭」の過ごし方

そして、お盆「ブラン祭」(Vu Lan)には、両親への親孝行に加え、亡き親族のお墓参りも欠かせません。 鬼月は亡くなった人にとってのテトである と考えられており、ブラン祭にお墓を訪問することは、祖先への感謝を意味します。お寺では礼式に則り、僧侶の方が読経やお香を焚くなどして、鎮魂の儀式が行われます。

最後に、鬼月にやるべき事・やるべきでない事を紹介したいと思います。

鬼月にやるべき事
1. 菜食を心掛ける:菜食は人の心を清らかにし、悪いものを避けるという考えがあります。化学品を避けることは、病気の予防にも効果的です。 2. チャリティーに参加:貧しい人にお金や服を寄付したり、お布施をすると、自身や家族に徳をもたらし、安全・健康の祈願になると言われています。 3. お墓参りをする 4. 殺生を控える 5. 問題を起こさず、穏やかに楽しく過ごす

鬼月にやるべきでない事
1. 枕元に風鈴を吊るす:風鈴の音は幽霊を呼び寄せるため、人が寝ている時に鳴ると家に侵入されてしまいます。

2. 夜間の外出や撮影

3. お供え物を勝手に食べる、燃やす:誰の許しもなく盗れば、災難に見舞われるとされています。

4. 夜に洗濯物を干す:幽霊が服に憑りついてしまいます。

5. 海に行く、水遊びをする:水辺には鬼がいるため、怪我をしてしまう恐れがあります。

6. ご飯茶碗に箸を指す:お供え物だと勘違いした幽霊が食べにきます。

以上のことを、現代の生活の中ですべて実践するのは難しいと思いますし、やってもやらなくても生活に支障はありません。でも、科学的根拠がなくても、ベトナム人にとっては大切な文化として受け継がれています。ベトナムの幽霊に会いたくない!という方は、信じてやってみた方が良いと思いますよ。

著者紹介
ICONICベトナム
ベトナムで転職実績No.1を誇るICONICです。ベトナムでの転職支援・求人紹介を行っています。ベトナムの生活情報をお届けするブログも運営しており、ベトナム旅行、ベトナム料理、文化、ショッピング、その他おもしろ情報を発信中!生活に役立つ情報を現地からお届けします。

>> ベトナムでの転職・求人ならiconicJob

>> 海外転職・アジア生活ブログ
【日本人が知らない】ディープなベトナム案内
その他の記事はこちら>
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
ホーチミン:12月運行開始のメトロ1号線、運賃決定 (6:46)

 ホーチミン市人民委員会は21日、12月の商業運転開始を予定している都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)の運賃を規定する決定を発表した。  決定によると、運賃は乗車区間の距離によって異...

マレーシア、ベトナムの9か国目の包括的・戦略的パートナー国に (6:32)

 21日から23日までの日程でマレーシアを公式訪問中のトー・ラム書記長は21日、最高儀礼に則り盛大に執り行われた歓迎式典の後、アンワル・イブラヒム首相との首脳会談に臨んだ。  両首脳はこの席で、両国間...

チン首相、ドミニカ共和国大統領と会談 FTA交渉を提案 (5:45)

 ドミニカ共和国を公式訪問中のファム・ミン・チン首相は現地時間20日、ルイス・ロドルフォ・アビナデル・コロナ大統領と会談した。  両首脳は、2005年7月7日の外交関係樹立以来、初のハイレベル訪問となる...

ハノイの街角、アヒルを連れて散歩する名物男性 (17日)

 午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳)が、手に持った棒で地面を叩くと、生後4か月の真っ白なアヒルは「散歩の時間だ」と理解し、クアンさんの...

ホーチミン:ドンコイ通りの小売スペース賃貸料、世界14番目の高さ (5:33)

 米不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield=C&W)がこのほど発表した、世界のブランドショップ街の小売スペース賃貸料動向に関する年次調査レポート「世界のメインストリート(...

自宅でヒキガエル肉を調理、児童1人死亡・1人重篤 (4:20)

 南中部高原地方総合病院は19日、自宅で調理したヒキガエルの肉と卵を食べた児童2人が中毒を起こしたと発表した。  19日昼、南中部高原地方ダクラク省クロンパック郡に住むY君(11歳)は、自分でヒキガエルの...

教員の4割超が給与と保護者のプレッシャーに悩み (4:14)

 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)傘下の政策開発研究所が先般発表した調査結果によると、教員の25.4%が学校内で、8.2%が学校外で生徒向けに補習授業を行っている。  この...

エクセル・クリエイツ、ハノイに駐在員事務所を開設 (3:46)

 医療機関向けパッケージソフトウェアの製造・販売を手掛ける株式会社エクセル・クリエイツ(大阪府大阪市)は11月、ハノイ市に駐在員事務所を開設する。  これを機に、ベトナムをはじめとする東南アジア諸国...

ハノイ:国際建築展示会「ベトビルド」、11月27日から開催 (2:47)

 ハノイ市ナムトゥーリエム区の国立展示建設センター(1 Do Duc Duc, quan Nam Tu Liem, TP. Ha Noi)で、11月27日(水)から12月1日(日)まで、国際建築展示会「ベトビルド・ハノイ2024(第4回)(VIETBUILD Ha Noi 202...

米空軍、ベトナム空軍に練習機5機引き渡し 国防協力の重要な節目 (21日)

 米空軍は南中部沿岸地方ビントゥアン省ファンティエット空港で20日、ベトナム空軍に米国製の練習機「T-6テキサンII(T-6 Texan II)」5機を引き渡した。  式典は、米空軍太平洋空軍司令官のケビン・B・シュナ...

タイWHA、タインホア省で工業団地開発 投資総額80億円 (21日)

 ブイ・タイン・ソン副首相は19日、北中部地方タインホア省で計画されているWHAスマートテクノロジー工業団地のインフラ整備案件に関する投資方針を承認する決定第1431/QD-TTgに署名した。  投資主は、タイ...

ビンファスト子会社、シュナイダーなどとグリーンエネルギーで協力 (21日)

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電気自動車(EV)メーカーであるビンファスト(VinFast)の子会社、ビンファスト・エネルギー(VinFast Energy)は、

車両の排ガス基準のロードマップ、25年1月1日施行 (21日)

 チャン・ホン・ハー副首相は、輸入車両と国内製造・組み立て車両に求められる排ガス基準の適用ロードマップを規定する首相決定第19号/2024/QD-TTgに代行署名した。同決定は2025年1月1日に施行される。  首...

プロジェクターの中国XGIMI、ナムディン省に工場建設へ (21日)

 スマートプロジェクターとレーザーテレビの設計・製造を手掛ける中国のエクスジミー(XGIMI)はこのほど、北部紅河デルタ地方ナムディン省のミートゥアン工業団地内でプロジェクター生産工場の建設に向けた地鎮祭...

ベトジェットエア、「グリーンフライデー」で運賃キャンペーン (21日)

 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は、「ブラックフライデー」に対抗してサステナブルな消費を促す「グリーンフライデー」のキャンペーンとして、11月27

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2024 All Rights Reserved