ベトナムの小売市場は、2018年の年間平均成長率が10%を超え順調な成長を見せています。その 成長を牽引しているのが、コンビニやスーパーマーケット、デパートなどのチェーン展開を行なっている店舗 です。パパママショップのような伝統的な小売店舗が未だに大多数を占めるベトナムとはいえ、都市部を中心に多くのチェーン店舗が展開されるようになっています。
そんなベトナムの小売店舗の昨今の特長について、大きく3つを取り上げて見たいと思います。
チェーン店舗の地方展開
1つ目はスーパーやデパートなどの地方展開です。これらの店舗数の変化を見ると、ホーチミン・ハノイの二大都市の伸びよりも、その他の地域の伸びが高くなっています。これは ダナン ・ カントー ・ ハイフォン などを含む中級都市にショッピングモールなどが進出 しているためです。これに伴い、フィットネスジムや映画館などの地方展開が促進され、地域の若者の生活が少しずつ変化を見せています。
M&Aなどの小売再編
2つ目は小売店舗ブランドの再編です。近年、多くの小売店がベトナムに進出していますが、その全てが上手く行っているわけではありません。フランス資本の小売大手Auchan(オーシャン)グループはベトナム進出から数年で 先日撤退を決め 、 Shop&Go や Fivimart などの小売店、 Vietnthong A のような家電店も Vingroup(ビングループ) 傘下となりました。また昨年一気に店舗を増やした MINISO や MUMUSO などのいわゆる「ミニストア」の新規店舗展開が鈍化しているように見受けられる一方、 資本力のあるローカル企業が勢いを一層つけています 。
ビングループによる寡占化
3つ目はビングループの成長を挙げたいと思います。スーパーやデパート、ショッピングモールなどの展開で目立つのがビングループの勢いです。 ビンマート 、 ビンマートプラス といった 独自ブランドの展開に加え、積極的なM&A によって、近代小売店舗におけるビングループのシェアは一層高まっています。
例えば、すでにスーパーの3割以上、デパートの7割がビングループ配下の店舗となっており、コンビニに関しても、先日買収したShop&Goを加えると半数以上のシェアを保持することになります。
数年前と比較すると、明らかにお金持ちが増え、ベトナム消費者の出費傾向も変わってきているとは言えますが、その成長を小売店が十分享受できているかというとそうとも言い切れません。思いの外不動産などのコストがかかったり、単価が上がらなかったりと潜在性の高いベトナムとはいえ、計画通りにいかないケースも多く見られるようです。