ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

ベトナムのセキュリティ事情(3):工場のセキュリティ~窃盗~

2015/06/06 06:00 JST配信

 皆さん、こんにちは。今回から数回にわたって工場のセキュリティについて考えてみたいと思います。

工場内で発生する「窃盗」

 工場と言っても、数千人単位のワーカーが働く大規模な工場から、最近多くなってきたレンタル工場まで、規模・形態は様々です。しかしながらセキュリティ面の課題は共通する部分も多くあります。

 工場内では、セキュリティに関して日々様々な問題が発生しますが、経営者の頭を最も悩ませている問題の1つに窃盗があります。窃盗事件が発生するということは、そこに換金性の高いものが存在しているからです。また、個人の所有欲を満たすために他人の持っている高額商品を窃盗する場合もあると思います。

 では、工場に存在する換金性の高いものや個人の所有欲を満たすような高額商品とは何でしょうか?

工場内に存在する換金性の高いものとは?

 実は、工場内には、お金に換えられるものがそこかしこに転がっています。誤解を恐れずに言えば、「隙あらば」と狙っている人間にとって工場は宝の山のような場所です。

 まず、金属、特に銅はベトナムにおいては換金性が高く窃盗事件も数多く発生しています。避雷針の銅線ケーブルはその代表格です。銅線は持ち出しやすく見つかりにくいため、ワーカーが服の下に隠したり(イメージ)、一旦トイレのタンクなどに隠して持ち出そうとするケース(写真)が報告されています。


 避雷針に関しては、避雷針そのものが建築工事中に盗まれたが、もともと屋上にあったため発見が遅れて工場の引き渡し時に窃盗が発覚した、というケースもありました。さらに、アルミの塊や真鍮も高く売れるようです。

 また、ごみ置き場や廃材置き場にある鉄くずや、屋根や壁の補修用廃材、さらに金属ではありませんがプラスティック製のパレット、段ボールなどが盗まれたケースもありました。

 次に工具や各種測定器も窃盗の対象です。ノコギリなどの工具や電源コード・延長コード、マイクロメーターやノギスなどの測定器は常に狙われていると言っても過言ではありません。

 さらに塗装用ペンキも盗まれます。これは、保管庫から少しずつ盗まれるため、発見までに時間がかかるケースが多いようです。

ロッカーやオフィスでも多発する盗難

 工場内・事務所内のロッカーでの盗難も悩みの種です。ベトナム人にとって、携帯電話、特にiPhoneはバイクと並んで大切な資産です。規則で工場内に携帯電話を持ち込ませないように運用されているケースも多いですが、その場合ロッカーでの携帯電話の盗難事件が多発します。

 事務所棟・オフィスで最も狙われるのはノートパソコンです。お昼の休憩時間や残業時間など人が少なくなる時に発生します。

 また、ガソリンの窃盗も多発します。バイクやフォークリフトの燃料チューブを外してペットボトルに移し替えるケースです。

 少し変わったものでは、社員食堂などで、食材の残りを残飯と偽って持ち出そうとしたケースもありました。このケースは、出入りの業者による不正ですが、他にも業者がタンクローリーに燃料を給油する際に、重量をごまかして大目に給油するという手口があります。工場に入構する際に、隠しタンクに水を入れておいて、給油時に排水することで、より多くの燃料を給油するという手口です。

 では、これらのお宝を盗まれないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?次回以降は具体的な対策について説明します。

著者紹介
安立 光孝 (あだち みつたか)

ALSOK (VIET NAM) CO.,LTD  代表取締役社長

コンピュータメーカーで17年間システムエンジニアとして従事。製造業における生産管理システムやファクトリオートメーションシステムの構築を担当。1998年から4年間、米国シリコンバレーに駐在し、ITセキュリティのベンチャー企業を発掘、日本市場への参入を支援。2007年に綜合警備保障株式会社(ALSOK)入社。新規事業の「情報警備」事業を立ち上げ、2014年4月より現職。

ウェブサイト:https://www.alsok.com.vn/

ベトナムにおけるセキュリティー事情
その他の記事はこちら>
[2015年6月6日 ベトジョーコラム A].  © Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
カンボジア国会議事堂新庁舎が落成、ベトナムが寄贈 (22日)

 カンボジア公式訪問を開始したチャン・タイン・マン国会議長は21日、カンボジアの首都プノンペンで、同国のクオン・ソダリー国民議会(下院)議長と会談した。  両議長はこの席で、両議会が緊密に連携して訪...

フエ前国会議長に警告処分、病床のトゥオン元国家主席は処分先送り (22日)

 ベトナム共産党政治局・書記局は20日に開かれた会合で、政治局員・国会共産党連合会書記・国会議長在任中に、汚職防止に関する党規と法律に違反したとして、ブオン・ディン・フエ前国会議長に警告処分を科すこ...

エノテカ、ホーチミン高島屋にワインショップをプレオープン (22日)

 ワインの輸入販売などを手掛けるエノテカ株式会社(東京都港区)は11月25日、ホーチミン市1区のホーチミン高島屋2階に「ワインショップ・エノテカ ホーチミン高島屋店」をプレオープンする。  ラウンジエリア...

ハノイの街角、アヒルを連れて散歩する名物男性 (17日)

 午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳)が、手に持った棒で地面を叩くと、生後4か月の真っ白なアヒルは「散歩の時間だ」と理解し、クアンさんの...

住商アグロ、地場農業資材販売会社に出資 (22日)

 住商アグロインターナショナル株式会社(住商アグロ、東京都千代田区)は、ベトナムの農業資材販売会社であるホップチー・インベストメント・コーポレーション(Hop Tri Investment Corporation、ホーチミン市)に...

働きがいのある在ベトナム企業ベスト100、ユニリーバが1位に (22日)

 ベトナム最大の企業管理職向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を運営するアンファベ(Anphabe)は19日、「働きがいのある在ベトナム企

カマウ省:戦勝遺跡地区を建設、ベトナム戦争の戦闘で勝利の地 (22日)

 南部メコンデルタ地方カマウ省人民委員会は19日、ダムゾイ郡でダムゾイ・カイヌオック・チャーラー(Dam Doi - Cai Nuoc - Cha La)戦勝遺跡地区の起工式を開催した。同省共産党委員会のグエン・ティエン・ハイ書...

ホーチミン:12月運行開始のメトロ1号線、運賃決定 (22日)

 ホーチミン市人民委員会は21日、12月の商業運転開始を予定している都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~スオイティエン間)の運賃を規定する決定を発表した。  決定によると、運賃は乗車区間の距離によって異...

マレーシア、ベトナムの9か国目の包括的・戦略的パートナー国に (22日)

 21日から23日までの日程でマレーシアを公式訪問中のトー・ラム書記長は21日、最高儀礼に則り盛大に執り行われた歓迎式典の後、アンワル・イブラヒム首相との首脳会談に臨んだ。  両首脳はこの席で、両国間...

チン首相、ドミニカ共和国大統領と会談 FTA交渉を提案 (22日)

 ドミニカ共和国を公式訪問中のファム・ミン・チン首相は現地時間20日、ルイス・ロドルフォ・アビナデル・コロナ大統領と会談した。  両首脳は、2005年7月7日の外交関係樹立以来、初のハイレベル訪問となる...

ホーチミン:ドンコイ通りの小売スペース賃貸料、世界14番目の高さ (22日)

 米不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield=C&W)がこのほど発表した、世界のブランドショップ街の小売スペース賃貸料動向に関する年次調査レポート「世界のメインストリート(...

自宅でヒキガエル肉を調理、児童1人死亡・1人重篤 (22日)

 南中部高原地方総合病院は19日、自宅で調理したヒキガエルの肉と卵を食べた児童2人が中毒を起こしたと発表した。  19日昼、南中部高原地方ダクラク省クロンパック郡に住むY君(11歳)は、自分でヒキガエルの...

教員の4割超が給与と保護者のプレッシャーに悩み (22日)

 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)傘下の政策開発研究所が先般発表した調査結果によると、教員の25.4%が学校内で、8.2%が学校外で生徒向けに補習授業を行っている。  この...

エクセル・クリエイツ、ハノイに駐在員事務所を開設 (22日)

 医療機関向けパッケージソフトウェアの製造・販売を手掛ける株式会社エクセル・クリエイツ(大阪府大阪市)は11月、ハノイ市に駐在員事務所を開設する。  これを機に、ベトナムをはじめとする東南アジア諸国...

ハノイ:国際建築展示会「ベトビルド」、11月27日から開催 (22日)

 ハノイ市ナムトゥーリエム区の国立展示建設センター(1 Do Duc Duc, quan Nam Tu Liem, TP. Ha Noi)で、11月27日(水)から12月1日(日)まで、国際建築展示会「ベトビルド・ハノイ2024(第4回)(VIETBUILD Ha Noi 202...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2024 All Rights Reserved