観光客で混み合う深夜のブイビエン通りで、子供たちは毎晩10~15回の火吹きパフォーマンスをして20万~40万VND(約1200~2400円)を稼ぐ。しかし、どこにでも競合はいて、縄張りをめぐって口論や争いに発展することも日常茶飯事だ。そこで子供たちは、グループを作ってお互いに助け合っている。
(C) dantri |
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「宝くじ売りや資源回収などの以前の仕事に比べれば、今はもっと稼げています。時々10万VND(約600円)もくれるお客さんもいるから、少しくらい大変でも大丈夫です」とカンくんは語る。
カンくんの母親は、カンくんを出産してすぐに亡くなった。父親は、カンくんが4歳の時にカンボジアに出稼ぎに行って以来、戻ってきていない。
小学3年生を終えたカンくんは、父方の祖母に頼んでティエンザン省ミトー市で宝くじを売るようになったが、数か月には生活費が尽き、カンくんは仕事を探すため、バスに乗ってホーチミン市に向かった。「ホーチミン市に来てすぐの頃は、飲み屋の手伝いをしてお金を稼いでいました。お金がない時は、夜はインターネットカフェや公園で寝ていました」とカンくん。
火吹きパフォーマンスを習得してから、カンくんとタイくんは一緒に行動するようになった。20時、2人は道具を持ってホーチミン市4区ビンカイン通りに出て火吹きパフォーマンスを行い、それからブイビエン通りに移動して午前2時まで仕事をする。
「お客さんがいなくなったら2人で自転車に乗ってトゥードゥック市に帰り、そのまま寝るか、インターネットカフェにゲームをしに行くんです」とタイくん。タイくんもまた、4歳の時に父親を亡くしている。
父親を亡くした数年後、タイくんは母親と一緒にホーチミン市に移り住んでオレンジジュースを売るようになり、夜になると1人で街に出て、歩き回ってお金を稼いでいる。「毎日、数十万VND(10万VND=約600円)は稼いでいます。稼いだお金は、ゲームに使う以外はお母さんのために貯金しています」とタイくんは笑う。
深夜の路上で火を吹いてお金を稼いでいる子供たちには、少なからぬ苦難がある。カンくんは、路上で寝ていたがために、せっかく稼いだお金を次々と奪われてしまったこともある。ただ、グループを作るようになってからは、こうした事態を多少なりとも防げるようになった。