ランさんはかつて、父親のフンさんと息子のフオックさんの重荷になっていると感じていた。ランさんは、白杖と宝くじの束を片手に、生計を立てるために暗闇の中を手探りで歩き回った。「息子は勉強がよくでき、大学にも合格できました。私自身も、今はもう惨めな気持ちはありません」とランさん。
(C) tuoitre |
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今から20年前にも、地元紙「トゥオイチェー(Tuoi Tre)」がこの家族に関する記事を掲載した。読者からは手術の費用として1億VND(約61万円)の寄付が集まった。彼らの目に光はまだ届いていないが、フンさんはそのお金を「社会の温かい心」として受け取り、使わずに大切に貯めていた。
その中から精米機を購入して作業場を設け、豚と牛、鶏の飼育に投資した。一部は妻や子供たちが病気になったときの費用として銀行に預け、フンさん自身は作業場で懸命に働いてきた。気付けば長い月日が経ち、フンさんの髪の毛はすっかり白くなっていた。
フオックさんは大学に通うため、間もなくダナン市に行ってしまう。フオックさんは同郷の先輩たちに頼んでカフェでアルバイトをしながら勉強をし、夢に向かって進んでいくという。
「フオックさんの大学の学費は?」という質問に対してフンさんは、「長いこと飼ってきた豚と牛、鶏で当面は何とかなるでしょう。自分ももう老体なので不安ですが」と短く答えた。