すると、しばらくしてハイさんからこんなメッセージが届いた。「家の住所を教えて。あなたがどうであろうと、変わらず好きだから」。
(C) vnexpress |
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2日後、ランソン省に住んでいるハイさんが、突然トゥエットさんの家の前に現れた。その時、トゥエットさんは強がって見せたものの、実はハイさんを直視することができず、ぎこちなくなってしまったのだという。
トゥエットさんの家で数日間を過ごす間、ハイさんはトゥエットさんがどうやって移動したり色々なことをしたりするのか、よく観察した。両手を使って移動しているにもかかわらず、何をするにも器用なトゥエットさんを見て、ハイさんは彼女がいかにエネルギッシュで、皆の負担になりたくないと努力してきたかを知った。
そしてハイさんは故郷のランソン省には戻らず、ビンフオック省で仕事を探し、トゥエットさんのそばにいようと決めた。トゥエットさんの家から数百mのところに部屋を借り、時間があればトゥエットさんを誘って遊びに出かけた。
数か月後、ハイさんはトゥエットさんに正式に告白したが、トゥエットさんはハイさんの気持ちが本物だとは信じることができず、告白を拒否した。そして、幸せを与えてくれる普通の女性を見つけるようハイさんにアドバイスした。
それでもハイさんは諦めなかった。行動やメッセージで毎日気持ちを伝え、必要な時はいつでも彼女をサポートした。時間があるときはトゥエットさんを抱えて自転車の後ろに乗せ、一緒に通りを眺めながら自転車を漕いだ。2人が一緒に過ごす時間は日に日に増え、トゥエットさんはようやくハイさんの気持ちが本物だと信じられるようになった。
そんなある日、トゥエットさんは妊娠していることに気づいた。医師は母体の健康が保証できないとして子供をおろすよう忠告したが、トゥエットさんは「この子を産みます。私の人生ですから」とはっきり告げた。そして、両親にも2人の関係と赤ちゃんの存在を認めてもらえず、2人は駆け落ちした。
妹からの援助も合わせて数百万VND(100万VND=約5900円)をかき集めた2人は東南部地方ビンズオン省に行き、小さな部屋を借りた。ハイさんは工場に働きに出て、トゥエットさんは内職をした。2人は毎日一緒に料理をして、たくさん話をした。夜になると、出会ったころのようにハイさんはトゥエットさんを連れて散歩に出かけた。
ただし、これはトゥエットさんの健康状態が安定している時だけで、妊娠中のトゥエットさんはつわりで何も食べることができず、水と牛乳しか飲めないような日々が続いた。トゥエットさんは、流産してしまうのではないか、もしくは自分のように障がいのある子供が生まれてくるのではないかという不安を常に抱えていた。