そんな励ましもあり、彼女にはすべてを打ち明けることにした。その日は支援団体のメンバーもそばにいてくれて、HIVの説明を、丁寧に、丁寧に、してくれた。
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どんなにショックだっただろうか。それでも彼女は、同じ道を歩くと言ってくれた。ミンさんが完全にクスリを絶つことを条件に。
更正は、施設ではなく自宅ですることにした。母と妻から個室に閉じ込められ、手足をベッドに縛り付けられ、毎日食事を運んでもらった。しかし発作は襲ってきた。この紐を引きちぎって、あの壁を乗り越えれば楽になる。1週間しか持たなかった。妻の励ましの隙を見て、仲間のもとへ逃げ出した。
一度目は失敗。もう一度チャンスをくれないか。妻に頭を下げ、治療薬を変えてもらったこともあり、今度は少しずつ、発作を乗り越えることができた。誘惑を絶って半年、もう大丈夫、そんな確かな自信は、何かのパーティーで仲間に再会したことで、もろくも崩れ去った。
「3年かけて、4度の失敗を経て、やっとクスリを絶つことができました。昔たむろしていた場所を通りかかっても、もう欲しい気持ちは出てきません。これがもう最後、と妻に言われ、支援団体に毎日来てもらって、ようやく目が覚めました」。
それからは、健康を回復させるために治療法をしっかり守るようになり、子供をもつことを考えるようになった。近くの病院の医者からは、奥さんにも、子供にも移す可能性があるので子供はあきらめた方がいい、そう諭されたが、あきらめられず、ホーチミン市のHIV治療を専門にする大きな病院を訪ねた。