顔にケロイドがあるゴ・クイ・ハイさん(男性・27歳)は、10歳のときに聴覚障害を持つ友人の誕生日ケーキを買いにケーキ屋に入ったが、顔が醜いという理由で店から追い出されてしまった。それからというもの、ハイさんはどんなに貧しくてもどんな外見であっても誰でも歓迎する、自分のケーキ屋を開くという夢を持ち続けてきた。
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17年後、ハイさんの故郷である南中部高原地方コントゥム省ゴックホイ郡のフンブオン(Hung Vuong)通りで、ようやくその夢が実現した。
ハイさんは、生まれたときは健康体だったが、1歳になる前に重度の火傷を負い、顔全体にケロイドが残ってしまった。子供時代、近所の子供たちは誰もハイさんと遊びたがらず、当時の唯一の友達は近くの家に住む聴覚障害を持つ少年だった。「僕たち2人は、誰も友達になってくれないという共通の悲しみを抱えていました」とハイさんは当時を振り返る。
6歳のとき、ハイさんは両親に学校に連れて行かれたが、クラスメイトから絶えずからかわれたり差別されたりし、4か月後には学校に行かなくなった。そのため、ハイさんの子供時代は、母親が営む小さな雑貨屋で細々とした仕事を手伝うだけだった。
10歳のとき、ハイさんと視覚障害を持つ友人は初めて遠方の市街地に行き、初めて目にするたくさんの種類のケーキが並べられた、豪華なケーキ屋の前で立ち止まった。2人はそのケーキを食べることを夢見て家に帰り、ハイさんはそれから何か月もかけてお金を貯めた。
ケーキ1切れを買うのに十分なお金が貯まると、2人は興奮しながらケーキを買いに再び市街地に向かった。「でも、お店の中に足を踏み入れると、店員に話すら聞いてもらえず、帰れと言われて外に出されました。とても残念で悲しい気持ちでした。その日は友達の誕生日だったんです」とハイさんは回想した。
心の中に夢を抱きながらも、その夢を実現するのはとても難しいことだとハイさんはわかっていた。成長するにつれて孤独は大きくなっていき、自分の顔が傷だらけだというコンプレックスを乗り越えることができなかった。