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「おじいちゃん、どうして私たちを置いて行っちゃったの?」5区フンブオン通りにある古いマンションの2階から、泣き叫ぶ声が聞こえてくる。4世代の大家族がぎゅうぎゅうと入り口の前に集まり、ボランティアチームが遺体を引き取りにくるのを待っていた。
故人は60歳の男性で、基礎疾患があった。遺族は狭い廊下の両側に寄り、ボランティアチームの6人が通れるように道をあけた。チームのメンバーは遺体の前に立ち、手続きと袋への収納の作業の前に死に装束を着せた。現場では遺体を包む袋がこすれる音と、遺族がすすり泣く声が混ざり合っていた。
そのマンションは一時的に封鎖措置が講じられていたため、遺族はボランティアチームに、できるだけ早く故人を引き取るよう依頼していた。部屋の広さは30m2ほどだが、ここに4世代が一緒に暮らしている。部屋の外の階段に通じる窓から、目を赤くした人々が作業の様子を静かに見下ろしていた。
「故人の遺骨は5区軍事指導部がご遺族にお返しししますので、安心してください。大家族ですので、明日皆さんで新型コロナウイルス検査をしてくださいね」と、ボランティアチームの1人が声をかけ、遺族を励ました。
20人余りいる大家族全員が、故人を最後まで見送りたいと申し出た。故人の遺体を運ぶ行列が、古いマンションの急で暗い階段をゆっくりと降りていく。
故人を乗せた車のドアが閉まると、一家はひざまずき、3回お辞儀をした。通りには泣き叫ぶ声が響き渡った。ボランティアチームが到着してから去っていくまでの時間はわずか15分。フンブオン通りを走り去っていく車の後ろを、目を濡らした人たちが見つめていた。
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夫の遺骨を手に抱き、ランさんはまだ現実を受け入れられていない様子だった。遺骨を納める寺までの道すがら、時々黙り込み、また時々子供のように泣いた。「車椅子には座らずに、どうしてこんなところにいるの?」とランさんは遺骨の箱に貼られた「N.V.T」という名前の小さな紙をなでながら言った。