夫に火をつけられ生死をさまよった女性、復活までの2年間

2021/04/18 05:25 JST配信

 しかしそれは簡単なことではなかった。何時間も歌い続け、問い合わせに回答しても商品が1つも売れない日も多かった。そればかりか、「そんな顔をオンラインでさらして歌っているのか」と悪意のあるコメントを書き込んでくる人たちもいた。

(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 「私は以前の満ち足りた生活から火事のせいで一瞬にして全てを失い、死にかけ、再び生きることを決めたので、人生が無常だということもわかっています。だから、悪意のあるコメントで悲しくなることはありません」とガンさんは打ち明けた。

 ガンさんのライブ配信を見て、同情して寄付を申し出てくれる人たちもいたが、ガンさんは「商品を買ってもらえたら、働く意欲に繋がります。お金をもらうだけでは、使えばおしまいですから」と言って受け取らなかった。

 約半年間で縫製の仕事とオンライン販売の売り上げが安定し、ガンさんの生活も落ち着いたため、店舗を持つことにした。ホーチミン市クチ郡タントンホイ村の国道22号線沿いに位置し、マッサージオイル、エッセンシャルオイル、ミシンなどが置いてあるだけの、広さ10m2程度の小さな店だ。さらにガンさんは息子たちに頼んで、廃品回収や宝くじ売りの人々が通りすがりに無料で飲めるよう、店の前に飲み水を用意している。

 「ここは今後の足がかりとなるお店です。身体障害者や視覚障害者の友人を誘って、ここでマッサージも始めたいと考えているんです。歌が上手な人にはオンラインで歌って商品を販売してもらいます」とガンさんは教えてくれた。

 東南部地方ドンナイ省出身のキム・アインさん(女性・29歳)は、病院でガンさんと1か月近く同室だった、同じく重度の火傷を負った人物だ。「ガンさんはとても強い人だったのを覚えています。彼女は身体中に火傷を負っていたので足の指の静脈から点滴を入れるしかなかったのですが、彼女が泣いたのはその1度きりでした。数か月前、たまたまフェイスブックで彼女が歌っている姿を見て、彼女が生きていること、そして2人の息子たちと新しい幸せな生活を送っていることを知り、嬉しくて泣いてしまいました。彼女を見ると、自分はまだまだだと感じます。私は家族と一緒に暮らしていますが、この2年間、まだ外にも出ていないんです」とアインさん。

 仕事が忙しい中でも、ガンさんは2人の息子を連れて障害を持つ子供たちが暮らす孤児院を訪れている。また、自分と同じように火傷を負った人々と繋がり、無料で手術を受けられるプログラムを探すために病院に連れて行くなど、皆に前向きなエネルギーを与えている。

 ある時、下の息子から、いつか家族3人で故郷に帰りたいと思っていることを聞いた。ガンさんは、古い自宅の焼け焦げた壁を見て逃げたり息が苦しくなったりするのではなく、いつか故郷に戻って、以前のようにインターネットカフェや洋服屋をまた始めるために、今頑張って仕事をしようと考えられるようになった。

 「今は以前よりも身体の状態が良くなく、仕事のスピードも遅くなっていますが、大事なのはまだ仕事ができるということ。仕事さえできれば、いつか必ず失ったものを取り戻せるはずですから」とガンさんは語った。

前へ   1   2   3   次へ
[VnExpress 05:05 17/03/2021, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 元夫に火をつけられて全身に火傷を負った日から、2人の子供を自分で育てていくと決めていたガンさんだ...

新着ニュース一覧

 カンボジア公式訪問を開始したチャン・タイン・マン国会議長は21日、カンボジアの首都プノンペンで、同...
 ベトナム共産党政治局・書記局は20日に開かれた会合で、政治局員・国会共産党連合会書記・国会議長在任...
 ワインの輸入販売などを手掛けるエノテカ株式会社(東京都港区)は11月25日、ホーチミン市1区のホーチミ...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳...
 住商アグロインターナショナル株式会社(住商アグロ、東京都千代田区)は、ベトナムの農業資材販売会社で...
 ベトナム最大の企業管理職向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を運営するアンファベ(Anph...
 南部メコンデルタ地方カマウ省人民委員会は19日、ダムゾイ郡でダムゾイ・カイヌオック・チャーラー(Dam...
 ホーチミン市人民委員会は21日、12月の商業運転開始を予定している都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~...
 21日から23日までの日程でマレーシアを公式訪問中のトー・ラム書記長は21日、最高儀礼に則り盛大に執り...
 ドミニカ共和国を公式訪問中のファム・ミン・チン首相は現地時間20日、ルイス・ロドルフォ・アビナデル...
 米不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield=C&W)がこのほど発表した...
 南中部高原地方総合病院は19日、自宅で調理したヒキガエルの肉と卵を食べた児童2人が中毒を起こしたと...
 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)傘下の政策開発研究所が先般発表した...
 医療機関向けパッケージソフトウェアの製造・販売を手掛ける株式会社エクセル・クリエイツ(大阪府大阪...
 ハノイ市ナムトゥーリエム区の国立展示建設センター(1 Do Duc Duc, quan Nam Tu Liem, TP. Ha Noi)で、...
トップページに戻る