山林に1人で暮らす10歳の少年、父の死を乗り越え強く生きる

2020/02/02 05:05 JST配信

 2018年に父方の祖母が結婚したとき、クエンくんは毎晩泣いていた。そのため、3か月続けて伯父が面倒を見にいかなければならなかった。伯父はクエンくんに一緒に住むよう声をかけたが、クエンくんは同意しなかった。「伯父の家は貧しいですし、人も大勢いて、僕が同居すれば重荷になるだけだから」とクエンくんは静かに話した。

(C) vnexpress
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 そばに大人がいなくなり、まだ料理もできなかった頃、クエンくんはインスタントラーメンを食べていた。インスタントラーメンに飽きると、鍋を持って森に入り、果物や山菜を採ってはその場で茹でて食べた。今は炊飯器があり、炒め物やスープ、漬け焼きも作れるが、普段の食事はごま塩をかけた白ご飯だけだ。かまどを見ては、鶏肉や牛肉などを想像している。

 「おばあちゃんがお嫁に行ったばかりのある夜、お父さんが家に帰ってくる夢を見たんです。お父さんは狩りに行こうと弓矢をくれました。僕は走って走って、疲れ果てましたが、ようやくウサギを狩ることができました。そうしたらお父さんが『強く生きるんだよ』と言って、そこで僕は目を覚ましました」とクエンくん。クエンくんにとって、その一言が学校に行き、自立するための原動力になっているという。

 父方の祖母は新しい家族のことで忙しく、2018年は2度しかクエンくんを訪ねてこなかった。現在のクエンくんの唯一の夢は、祖母のそばにいて、祖母に髪の毛をなでてもらうこと。「髪の毛をなでてもらうと、とてもよく眠れるんです」とクエンくんは語る。

 10歳の少年の後ろにあるのは、誰もいない空っぽの家だけだ。

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[VnExpress 10:40 26/11/2019, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
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