日常と観光のはざまに生きる、ハノイの線路脇の暮らし

2019/10/20 05:49 JST配信

 2017年末、レズアン通りからフンフン通りに至るまでの線路脇に住む複数世帯が、カフェなどの店を始めた。店にクラシカルな装飾を施すだけでなく、列車が通過する時刻を店に掲示し、訪れる人が列車を見られるように配慮した。

(C) zing
(C) zing
(C) zing
(C) zing
(C) zing
(C) zing
(C) zing
(C) zing

 小さなカフェのオーナーであるタオ・クアックさんは、デザインを共通の趣味としている友人と一緒に、この場所にアーティスティックなカフェを開くことを決めた。そして2人はアイデアを出し合い、自分たちの手で壁に人物や草花、そして列車を描いた。店名は列車の警笛の音を表す「チューチュー(Choo Choo)」と名付けた。外から見ると薄暗いカフェのようだが、店内の装飾はとても凝ったデザインで魅力的だ。

 タオさんの目標は、オープン当初から一貫して「鉄道街の暮らしを体験したい人々に心地良い空間を提供すること」。こうして彼女の店は、鉄道街にオープンした多くのカフェの中でも早くから知られる存在になった。

 2019年の前半になると、線路脇のカフェは日ごとに増えていった。フンフン通り沿いの鉄道街は全長500mほどだが、どこもかしこも店になった。客は外国人ばかり。住宅街の中を鉄道が通過するという光景は単純だがユニークで、世界でもなかなか見ることができないため物珍しいのだ。

 早朝の鉄道街は信じられないほど静かだ。何人かの老人が習慣にしている早朝の体操に出かけ、何軒かの大衆食堂が昼食に出す料理の準備を始める。時折、お茶を沸かすために火をつけた練炭が煙を上げる様子も見られる。

 月曜日から金曜日までの毎朝6時にチャンフー駅の発車ベルと列車の汽笛が鳴り、ハノイ市から北部紅河デルタ地方ハイフォン市までの旅客列車がガタガタと通り過ぎる。列車が姿を現してから最後尾の車両が鉄道街を抜けていくまではたった1分ほどで、その後はまた普段と同じ静かな朝に戻る。

 ザウさんの家族は35年前にこの線路脇に引っ越してきた。当時、ザウさんは綿工場を退職したばかりだった。ザウさんによると、このあたりはかつて荒れ果てて臭く、住民も少なく、空き地に倉庫が建っているだけだった。

前へ   1   2   3   次へ
[Zing 19/10/2019, A]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 鉄道当局はハノイ市のバーディン区とホアンキエム区の人民委員会と、南北統一鉄道が通過する両区傘下街...
 19日正午ごろ、ハノイ市バーディン区ディエンビエンフー街区にあるチャンフー(Tran Phu)通りとリーナム...
 交通運輸省傘下のベトナム鉄道総公社(Vietnam Railway=VNR)は12日、ハノイ市人民委員会宛てに公文書を...
 ベトナム鉄道総公社(Vietnam Railway=VNR)の南北統一鉄道(ハノイ~ダナン間)が、「世界で最も車窓から...
 交通運輸省の要請を受けて、ハノイ市当局は2019年10月10日、同市のディエンビエンフー(Dien Bien Phu)...
 ハノイ市カウザイ区(quan Cau Giay)当局はこのほど、ディエンビエンフー(Dien Bien Phu)通り~フンフン...
 交通運輸省の要請を受けて、ハノイ市当局は10日から、同市のディエンビエンフー(Dien Bien Phu)通り~...
 交通運輸省はこのほどハノイ市に対して、ディエンビエンフー(Dien Bien Phu)通り~フンフン(Phung Hung...

新着ニュース一覧

 ハノイ市の北西約50kmに位置する北部紅河デルタ地方ビンフック省ビントゥオン郡ビンソン村は、「ヘビ養...
 ホーチミン市人民委員会はこのほど、50周年を迎える南部解放記念日(1975年4月30日~2025年4月30日)の祝...
 ホーチミン市1区のサイゴン動植物園で、4月2日(水)から7日(月)まで、民俗文化フェスティバル「3地域の...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 グエン・ホン・ジエン商工相は、ドナルド・トランプ米大統領が発表したベトナムに対する「相互関税」に...
 ベトナム政府は、ラオス人民革命党の元党中央執行委員会委員長・元国家主席・元首相のカムタイ・シーパ...
 南部メコンデルタ地方アンザン省で発生した違法砂採取事件の裁判で、ホーチミン市人民裁判所は2日、44...
 ベトナム海事水路局はこのほど、北部紅河デルタ地方ハイフォン市ディンブー・カットハイ(Dinh Vu - Cat...
 ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)はこのほど、米国に
 南中部沿岸地方カインホア省人民委員会は2日、同省のバンフォン経済区内でゾックダーチャン(Doc Da Tra...
 教育コンテンツの制作を手掛ける韓国のケデュオール(KeduAll)は1日、ベトナム現地法人のフィクテック(F...
 ドナルド・トランプ米大統領は2日、世界各国からの輸入品に対し「相互関税」を科すと発表した。180以上...
 ブイ・タイン・ソン副首相 兼 外相は、5月に予定されているトー・ラム書記長のロシア訪問と「対ナチス...
 北中部地方クアンビン省人民委員会は、マーク・ナッパー駐ベトナム米国大使が1日午後、同省の指導者と...
 政府は3月28日、電気料金の調整メカニズムを規定する政令第72号/2025/ND-CPを公布した。同政令は即日施...
 財政省傘下のベトナム国家イノベーションセンター(NIC)と米インテル(Intel)は2日、「コミュニティのた...
トップページに戻る