チュオンサ諸島海戦で戦死した父の後を継いで、海軍入隊を志願した女性

2018/03/18 05:46 JST配信
(C) youtube

 当時は中学校を卒業した人は稀だったこともあり、フオンさんは再び選抜され第7軍区軍事学校で学ぶことになり、その後1986年1月に部隊へ戻り、第146旅団の隊長というポジションを維持したまま少尉に昇進した。

(C) Mai Thanh Hai, Thanh Nien
(C) Mai Thanh Hai, Thanh Nien
(C) Mai Thanh Hai, Thanh Nien
(C) Mai Thanh Hai, Thanh Nien

 1988年3月11日、海軍の指令のもと、第146旅団は海上地図測量部隊や技術部隊など兵士100人近くが輸送船で南中部沿岸地方カインホア省カムラン港からチュオンサ諸島へ向かった。この時、フオンさんはガックマー岩礁副司令官としてこの任務に就いていた。

 1988年3月14日午前3時頃、技術部隊は建設資材をガックマー岩礁の海岸に運搬し始め、第146旅団はフオンさんの指揮のもと、国旗を掲揚し技術部隊の任務を警備した。同日6時、中国海軍が艦船2隻と兵士40人ほどを乗せたアルミ製の船で同岩礁へ上陸してベトナムの国旗を奪おうとしたが、フオンさんがそれを阻止し、中国海軍の銃撃を受けた。

 中国海軍はベトナム海軍の艦船や兵士に銃撃を繰り返し、ベトナム海軍の輸送船は撃沈、銃撃されたベトナム兵らは次々に海へ沈んでいった。

 フオンさんの妻マイ・ティ・ホアさんは現在ホーチミン市で商いをしている。フオンさんとは幼馴染みで、4年間の交際を経て1987年6月に結婚式を挙げた。しかし、1年も経たないうちにフオンさんにチュオンサ諸島での任務が発令された。

 任務に発つ直前の1988年のテト(旧正月)、フオンさんは10日間の休暇を取得し、休暇が終わるとホアさんは自転車でカムラン港までフオンさんを見送りに行った。

 「港に着くと、彼は私に手紙を渡しました。そこには体に気を付けるように、そして軍事機密のためしばらく手紙の返事は書けないと書かれていました」とホアさんは夫と過ごした最後の日を思い起こす。

前へ   1   2   3   4   次へ
[Mai Thanh Hai, Thanh Nien, 06:17 - 13/03/2018, T]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 今から37年前の1988年3月14日、チュオンサ諸島(英名:スプラトリー諸島、中国名:南沙諸島)海戦でベト...
 北中部地方クアンビン省バードン町(thi xa Ba Don)人民委員会は14日午前、同町クアンフック街区(phuong...
 1988年3月14日のチュオンサ諸島(英名:スプラトリー諸島、中国名:南沙諸島)海戦を記念し、中国軍と戦...
 ファム・ミン・チン首相は12日、南中部沿岸地方カインホア省カムラム郡カムハイドン村(xa Cam Hai Dong...
 南中部沿岸地方カインホア省チュオンサ郡は25日、在韓国ベトナム仏教徒会から寄贈されたガックマー烈士...
 南中部沿岸地方ダナン市で13日、1988年のチュオンサ諸島海戦で犠牲になったベトナム海軍の兵士64人の慰...
 ベトナム労働総連盟と南中部沿岸地方カインホア省人民委員会は15日、同省カムラム郡カムハイ村に建造し...
 1988年3月14日にベトナムと中国との間で起きたチュオンサ諸島(英名:スプラトリー諸島、中国名:南沙諸...

新着ニュース一覧

 ホーチミン市人民委員会は3月29日、同市を流れるサイゴン川に架かる歩道橋の着工式を開催した。  ...
 ルオン・クオン国家主席は国家主席府で1日午前、ベトナムを公式訪問中のベルギーのフィリップ国王陛下...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 保健省によると、今年に入ってから麻疹(はしか)の流行が始まり、これまでに4万2000人以上の感染疑いが...
 ホーチミン市フーニュアン区のファンシックロン(Phan Xich Long)通りの周辺には、全長1kmにも満たない1...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 南中部沿岸地方ダナン市人民委員会は3月28日、バクダン(Bach Dang)通り42番地の施設改修・拡張による「...
 国際協力機構(JICA)中部と株式会社ATグループ(愛知県名古屋市)は3月28日、JICA草の根技術協力事業「ベ...
 ENEOS Xplora株式会社(東京都千代田区、旧社名:JX石油開発株式会社)は3月25日、同社が100%出資する日...
 米国のS&Pグローバル(S&P Global)が先般発表した2025年3月のベトナム・PMI(製造業購買担当者指数)は50....
 ベトナムは、日本やインドネシアのような環太平洋火山帯に位置する国々と比べて、地震発生のリスクは低...
 ベトナムIT最大手FPT情報通信[FPT](FPT Corporation)傘下のFPTソフトウェ
 ファム・ミン・チン首相は29日、鉄道分野の国家重点プロジェクト指導委員会の会議を主宰した。首相はこ...
 ベトナム観光協会(VITA)は、持続的な韓国人観光客誘致を目的として、4月中に韓国のソウル市に韓国事務...
 格安航空会社(LCC)最大手ベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)は31日、北
トップページに戻る