マイさんの焼きバナナチマキは機内誌でホーチミン市のグルメとして紹介されて以降、「3区ボーバンタン通り378番地の焼きバナナチマキ」として広く知られるようになった。現在では外国人観光客も焼きバナナチマキを買いにマイさんの店へやって来る。
(C) Phan Dinh, Thanh Nien |
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焼きバナナチマキ作りはとても手間がかかり、原材料の計量も正確さが求められる繊細な作業だ。もち米を数時間水に浸し、水を切ってからココナッツミルクを加えながら蒸し上げる。
もち米は安い種類だと硬く直ぐに傷んでしまうため、品質が良い高価な種類を使用する。バナナを覆ったもち米を包むバナナの葉は、メコンデルタ地方のものが泥はねが少ないためきれいに洗いやすいのだそう。そして、焼きバナナチマキに光沢をもたらせ、より美味しくするにはたっぷりのココナッツミルクが欠かせない。
現在マイさんの店では親族3人体制で3シフトに分かれて、深夜2時から下ごしらえを始める。その日のバナナの入荷数によって平均で1日1000個のバナナチマキを焼いているが、毎日完売するという。
価格は1個1万4000~5000VND(約68~73円)で、1日の売上は1500万VND(約7万3000円)にも上る。「売上は従業員で分割して、余った分は慈善団体に寄付しています。私はもう高齢でお金を費やす先もないですし、子供たちも結婚して自立していますから。ただ身体が続く限り焼きバナナチマキを売っていたいですね」とマイさん。
マイさんは焼きバナナチマキのレシピやコツを秘密にしておくつもりはなく、作り方を知りたいという人がいれば喜んで伝授すると語る。「起業することで困難な状況から脱したり、家庭の収入源になれば良いと思います。そして、この庶民の味を多くの人に知っていただければ嬉しいです」。