最初は1~2の村落のみが対象で生徒の数は70~80人だった。しばらくすると、多くの親たちがティアさんの水泳教室に効果を見出して子供を通わせるようになったため、対象の村落も5つに増えた。こうしてティアさんのもとで水泳を習う子供の数は200人近くになった。
(C) dantri |
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水泳教室は、洪水の時期に備えて主に夏の3か月間に集中して開く。コースは毎日1.5時間ずつ、約10~15日間だ。各村落の運河や川が教室になる。ティアさんは竹を川底に突き刺して網で囲み、幅4m、長さ8m、深さ2mのプールを作る。
「私の手にかかれば5日間で泳げるようになりますよ。手をまっすぐに伸ばすことや足のばたつかせ方、顔の上げ方を教えるだけです。なかなか上達しない子供の練習にも付き合いますから、帰宅するのが18時になることもあります」。
フンタイン村人民委員会のレ・バン・タイ副主席はこう語る。「水泳教室プロジェクトのおかげで、2005年以降、村では子供の水難事故が起きていません。ティアさんは貧困世帯で、いくつもの仕事をしながら生計を立てていますが、子供たちに水泳を教える仕事にも本当に情熱を持って取り組んでいます。このことには心を打たれますし、地元の若者たちの模範にもなっています」。
毎年の水泳教室の時期が終わると、ティアさんは郡から150万~200万VND(約7300~9700円)を得る。水泳教室に通う子供の親たちは、ティアさんの好意にお金を渡そうとすることもあるが、ティアさんは決して受け取らない。そしてまた宝くじを売ったり、雇われ仕事をしたりしながら自分自身を養っていく。