「1年以上その真珠玉を育てた後、養殖場の皆でドキドキしながら取り出してみました。結果はとても満足のいくものでした。貝殻に包まれた真珠玉は、以前目立っていた文様が自然に、そしてとても美しく内側に沈み込んでいました」。初めて成功した瞬間を思い出しながら、トゥアンさんは熱く語った。
(C) vov, トゥアンさん |
(C) vov, 銅鼓文様の真珠 |
(C) vov, 「ミス・ベトナム2014」の王冠 |
(C) vov, トゥアンさんが育てたベトナム産真珠 |
この成功を受け、トゥアンさんはベトナム国家知的財産庁から20年間の特許を取得し、ベトナム産真珠ブランドのPRに貢献した。そしてトゥアンさんは「ベトナム真珠王」と呼ばれるようになった。
真珠に銅鼓の文様を入れることに成功し、それが国内外へのPRにつながったことで、彼は自分の仕事に対する自負だけでなく、「ビジネスとはお金を稼ぐためだけの単純なものではない」という真理を会得していた。当時、誰もが彼のブランドを知っており、家族、友人、顧客の皆が彼の才能と情熱を買っていた。仕事と芸術への情熱から彼が到達した考えは、「ビジネスとは顧客や社会に価値をもたらすためのものである」ということだった。
そして、彼と彼の経営するホアンザー真珠社(Hoang Gia Pearl)の職人チームは、「ミス・ベトナム2014」の優勝者に贈られる王冠を製作することとなった。これにより、彼の名は再び広く世に知れ渡った。この王冠は1つの完璧な芸術品として価値があるというだけでなく、「銅鼓の文様を描いた最も大きな天然真珠と多数の天然真珠を用いた王冠」ということで、ベトナムギネスにも認定された。
それに留まらず、トゥアンさんは数年前に南中部沿岸地方カインホア省の海に養殖場を増設した。ホアンザー真珠社の所有する養殖場の総面積は200ha近くに上り、ベトナムで最も広大な真珠の養殖場となった。
ハノイ市で2015年3月10日、国が主催の真珠産業に関する会議が開催された。同会議に出席したトゥアンさんは、同業者と共に、希少且つ育てるのが最も難しい南海真珠と黒真珠の2種類の養殖に成功したことを発表した。全ての真珠の品質はとても良く、他の地域で取れた真珠に引けを取らないという。
トゥアンさんは、これまでの成果、そして仕事への情熱と愛情と共に、美しいベトナム産真珠を通してベトナムの文化を世界中の人々に伝えるため、今後も更なる成長を続けていくだろう。