サンさんは、各種のミツバチや花を集めて研究したり、ハノイに出向いて養蜂の正しいやり方を学んだりした。その結果、性格が穏やかで集蜜力が高いイタリアン(セイヨウミツバチの一種)と野生のミツバチの2種類を飼育している。今ではミツバチのコロニーが400個以上になり、毎年約24tの蜂蜜を収穫し、売上は10億VND(約510万円)以上に上る。
(C)Dan Viet、養蜂箱を検査するサンさん |
サンさんは紅河デルタ地方タイビン省で生まれた。周囲の養蜂家の家に行っては飼育法を学び、自分で養蜂箱を作ってしまう子供だった。青年になると、西北部ディエンビエン省で国境防衛の任務に就いた。国境地域は養蜂には最適の地で、サンさんはその後の10年間、勤務場所が変わっても片手間に養蜂を続けた。
1989年に、養蜂の仕事に専念するため軍隊を退役した。当時蜂蜜の需要はまだ多くなかったが、養蜂は有益で必要な仕事だと信じて取り組んだ。ラオカイ市に拠点を置いたのもこの頃のことだ。
自宅を作っても、各地を移動する生活に変わりはない。サンさんは「もし1か所に留まれば、この事業は成り立ちません。ミツバチが働くのなら、養蜂家も各地を移動しなければなりません」と語った。