小学校を3年生で退学、酒と博打に明け暮れる日々を送っていた男が、20歳になってようやくベトナム語の読み書きを覚え、カイトボードのトレーナーとなり、高学歴の美しいロシア人女性と結婚。そして2011年、アジアスピードカイトボードの王者となった。
(C) thanhnien |
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彼の名は、グエン・ゴック・キン。
身長155センチ、日焼けした真っ黒な肌、長髪、刺青、ひげ。彼の風貌はいかにも「荒くれ者」だ。
子供の頃は、地元で彼のことを知らない人は居ないくらいの有名人。学校へ行けば悪さをし、家に帰れば仲間とつるんでうろつき回る。ついに学校を追い出された彼は、貧しい漁師の両親について漁に出るようになった。
学校にも行かなくなり、漁に出ては帰るだけの日々の中、数少ない楽しみは、酒と博打。「公安に呼ばれるのは日常茶飯事だった」と彼は言う。
15歳の時、家を出て南中部カインホア省ニャチャンでエビ漁を始めた。全国各地から集まってきた人々と出会い、金は全くなかったものの、ますます酒と博打にのめり込んでいった。
「気が付けばもう20歳、勉強もできなければ手に職もない。年老いた父親は病気でもうあまり仕事ができなくなった。そこで決心したんだ。」