指導者たちの散髪には時間に制約があった。レ・ズアン総書記やボー・グエン・ザップ隊長はいつも忙しそうで、「10分で切ってくれ!」と急かされたという。そんな中、グエン・ミン・チエット国家主席だけは優しく「25分で切ってほしい」と言った。しかし彼は勇敢にもこう返した。「国務で全国民の前に立たれるのです。最高の髪型にさせていただきたいので、35分いただけませんか?」主席は、優しく頷いて彼の提案を受け入れた。
(C) Vnexpress, ファム・ヴァン・ハン氏 |
1970年から40年以上に亘り、多くの指導者の散髪を担当してきた。忘れられない出会いと別れがあった。今はハン氏自身も引退して、髪を切る相手は友人や家族だけになったが、かつて使っていた道具一式は記念にとってある。
現在も護衛司令部に務めるかつての同僚はこう語った。「ハン氏は数え切れないほどの指導者の髪を切ってきました。なぜ彼が40年もの間、首相や国家主席の理髪師を続けられたのかというと、一つには腕が良かったこと、もう一つにはこれが天職とも言えるほど、この仕事に縁があったのでしょう」