伝説によると、紀元1世紀に後漢の支配下にあったベトナムで、チュン・チャックとチュン・ニの姉妹(ハイ・バー・チュン)が住民らと共に蜂起して勇敢に戦ったが、後漢の大軍に敗れ去り、姉妹は付き従った女性兵士らと共にハットモン川に入水して果てた。
(C)VTC news,Pham Ngoc Duong、バンコン集落 |
この女性兵士の1人、アー・ラー・ナン・デーの遺体がハットザン川(現在のダイ川)のバンコン集落に流れ着いた。累が及ぶのを恐れた村民はそれを放置、遺体は対岸のフーハン集落に漂着した。両集落の村民は愛国者の遺体を捨て置くのは忍びないと埋葬し、それから「義兄弟の契り」を結んだと伝えられている。
両集落では助け合いが盛んに行われている。農作業はもちろん、災害で被害を受けた場合も助け合う。それは集落の外でも変わらない。例えば車が接触事故を起こした時、相手が「義兄弟」と分かったとたんに問題は解決する。握手して互いに謝り合うだけだ。
村人民委員会の幹部らによると、両集落の住民間では一度もけんかや争いが起きたことがないという。もちろん結婚の前例もない。住民達は子供から高齢者まで、集落にいるときも外に出たときも、「義兄弟」の言い伝えを厳格に守り続けている。