新型コロナ禍で休校を余儀なくされたホーチミン市の複数の英語学校で、授業料を支払ったものの授業が実施されない、返金してもらえない、学校側と連絡がつかないといったトラブルが相次いでいる。
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ホーチミン市ゴーバップ区に住むキエットさんはこの2か月、支払った授業料を返金してもらおうと、外国語センター「Pixar」の経営者を何とか探し出そうと試みている。だが電話は不通で、その他の手段でも連絡はつかない。12区、ゴーバップ区、タンフー区にある同センターの教室にはいずれも「テナント募集中」との張り紙が掲げられている。
キエットさんは2021年4月、この英語学校に子供を通わせるために約700万VND(約3万8000円)を支払った。しかし通わせて1週間ほどしたところで、新型コロナ対策によって休校となった。
2021年10月末に教室からは、対面授業の再開準備をする期間についてオンライン授業を実施することが提案されたが、結局オンライン授業は実施されず、授業料の返金もなされなかった。「話し合いにも応じないし、返金もない。詐欺ではないか」とキエットさんは言う。
12区に住むバンさんも、1160万VND(約6万3000円)を2020年末に納め、子どもを4か月ほど通わせたところで、休校となった。ホーチミン市が社会的隔離措置を取っているあいだオンライン授業はなく、生徒に課題も出なかった。
昨年10月末に学校は、12区に住む一部保護者とのあいだで話し合いを持ち、オンライン授業を実施すると通知。バンさんの子どもは2021年11月から2022年1月までオンライン授業を受けることができたものの、「テト(旧正月)以降オンライン授業は実施されていません。問い合わせても返事はなく、教室まで行ってみると他に貸し出されている。あと490万VND(約2万6500円)分の授業が実施されていないのですが」とバンさん。
同様のトラブルに巻き込まれた保護者は12区だけで約200人。学校のウェブサイトはアクセス不能、ホットラインも不通で、3月以降、保護者らは経営者の自宅を訪ねてみたが、面会は実現しなかった。業を煮やしたバンさんらは、学校を12区の裁判所に訴えた。
同じような問題は他にも複数の外国語センターで発生しており、生徒に対する授業料の問題ばかりでなく、講師やスタッフに対する給料未払いも起きている。
ホーチミン市では現在1000を超える外国語センターが活動登録しており、教室数は合計およそ1700に上る。しかし新型コロナの影響で約80%の外国語センターが閉鎖、活動休止し、68のセンターが解散した。なおホーチミン市教育訓練局によると外国語センターは、授業料や給料の問題を解決しなければ、解散は認められない。
「Pixar」については、苦情を受けて教育訓練局が経営者から事情を聞こうとしたが、複数回の呼び出しのいずれにも応じなかった。このような状況から教育訓練局は被害者に対して、提訴することなどの方法を案内している。