ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けてロシア上空の飛行が禁止されていることで、航空会社は飛行ルートの変更を余儀なくされ、燃料費を含めたコスト増や保険などの問題に直面している。
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ベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)はロシア直行便(25日より運航を一時停止)を、地場不動産デベロッパー大手FLCグループ[FLC](FLC Group)傘下のバンブー航空(Bamboo Airways)はロシア経由の欧米路線を運航しているが、軍事侵攻を受けて多くの国が航空会社に対し、ロシア上空を通過するルートの飛行やロシア国内の代替飛行場の使用を禁止している。
そのため、ベトナムの航空会社は欧州路線の運航にあたり、ロシア上空を迂回し、中国やカザフスタン、北アフリカの上空を通過するルートに切り替えている。これにより、飛行時間は60~120分延び、1回の飛行にかかるコストも1万0600~2万1200USD(約130万~260万円)増加している。
ベトナム航空は欧州路線を週6便運航しており、週に7万~13万USD(約870万~1610万)のコストが余計にかかることになる。一方、バンブー航空は欧州路線を週3便運航しており、週あたりのコストの増加は3万5000~6万5000USD(約430万~810万円)となる。
また、米国路線についてもロシア上空を迂回するルートに切り替える必要があり、飛行時間は20~30分伸び、コストも増加する。
さらに、ロシアとウクライナからの供給不足により燃料価格も上昇しており、航空会社の負担が増大しているのが現状だ。
なお、ベトナム航空が25日からハノイ~モスクワ線の運航を一時停止している理由について、交通運輸省傘下のベトナム民間航空局(CAAV)は、ベトナム航空がロシア路線に投入している使用機材は主にリース機材であり、航空機リース契約では米国および欧州連合(EU)が制裁対象としている国・地域への飛行が許可されていないためだと説明した。
また、飛行できたとしてもロシア国内で技術的な問題が発生した場合、航空会社は禁輸措置のために欧州からロシアにスペアパーツを輸入して修理することができず、ベトナムから高いコストをかけて輸送する必要がある点も問題となっている。