グエン・スアン・フック首相は9日午前に開かれた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防国家指導委員会との会合で、関連機関に対し、虚偽の健康申告を行うなど「病気を隠す」行為を厳格に処分するよう指示した。
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フック首相は会合で、「経済的利益を犠牲にしてでも国民の健康を第一にする」方針を改めて主張し、抑止力のある抜本的な対処法が必要だとした。
フック首相が強固な方針を示した背景には、国内で17人目の感染者となったN・H・Nさん(女性・26歳、ハノイ市在住)が入国時に隔離措置を避けるため、移動ルートに関する虚偽の情報を提供し、Nさんから複数人に感染したことがある。
大富豪の令嬢であるNさんは、2月15日にハノイ市ノイバイ国際空港を出発し、翌16日にロンドンから英国へ入国。その後はイタリア・ミラノやフランス・パリを転々とした。29日から咳などの症状があったものの診察を受けず、3月1日にベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)のロンドン発ハノイ行きVN0054便で英国を後にし、2日にベトナムへ入国した。
Nさんはベトナム入国時に、流行国扱いとなっているイタリアを訪れたことを申告せず、質疑応答でも渡航したのは英国のみと主張。さらにパスポート検査でもイタリアの入国スタンプがなかったため、隔離措置を逃れた。しかしその後、Nさんの伯母(女性・64歳)と一家の専属運転手(男性・27歳)の2人の感染が確認された。
なお、ベトナム国内では2月13日までに16人の感染者が見つかり、2月末までに全員が完治・退院した。その後、約3週間は新規感染がなかったものの、3月6日に1人(Nさん)、7日に3人、翌8日に10人の新規感染が確認され、国内の感染者は計30人に増えた。6日以降に確認された新たな感染例14人のうち11人は、Nさんが搭乗したロンドン発ハノイ行きVN0054便で英国からベトナムに入国した人々だ。