禁止も根強い「産み分け」志向、産み分け補助薬のネット売買が横行

2018/07/27 16:26 JST配信

 男女の産み分けを禁止しているベトナムだが、男児を重んじる慣習は根強く残っており、依然としてソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)では産み分け方法の紹介や産み分け補助薬の広告掲載が横行している。

 妊娠4.5か月というハノイ市の女性(30歳)は、超音波検査により胎児の性別が80%の確率で男の子だと判明し喜びを隠せない。女性は結婚して5年で第一子に女の子を出産している。夫が跡継ぎであることから、第二子は何としてでも男の子が欲しかったのだという。そこで女性は名の知れた漢方医を受診しに紅河デルタ地方ハナム省まで行き、数千万VND(1000万VND=約4万8000円)かけて男児の産み分け方法の指導を受け、薬を処方してもらった。

 一方で、続けて男児2人を出産した東南部地方ビンフオック省の女性(33歳)は、10億VND(約490万円)近くを費やして海外へ渡航し、女児の産み分けを図った。癒しの女の子をと希望していた夫婦だったが、ある時占い師に第三子に女児を出産すれば家庭は安泰で大成すると言われたこともあり、なおのこと女児が欲しいのだと女性は笑う。

 政令第114号/2006/ND-CPにより、産み分け方法の伝授や流布、産前の胎児性別判定、性別判定を根拠とした堕胎は禁じられている。しかし違反行為に対する罰則は罰金のみと軽いこともあり、違反行為が後を絶たない。

 最近では日本からの輸入品と謳った産み分け補助薬が市場に出回り、多くの人が買い求めているという。女児希望にはピンク色、男児希望には青色と包装が色分けされている。

 広告によれば、性交渉前に性の膣内へ産み分け補助薬を投薬することで、日本ではこの薬を使用した人は90%の確率で産み分けに成功しているとのこと。価格は1箱(チューブ1本)100万VND(約4800円)と比較的安価なため、薬の品質や出所に構わずまとめ買いする人も多い。

 中央産婦人科病院のブー・バー・クエット博士は、ベトナムの産科界では産み分け方法のカウンセリングや薬の処方などは一切行っておらず、当該の産み分け補助薬も医療機関を介して輸入されていないため、検疫を受けていないと指摘する。また、成功率や品質なども不確定要素が多く、使用による副作用や感染症などの危険性もあるとしている。

[Minh Khang, SGGP, 24/7/2018 08:17, T]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2024 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 ホーチミン市共産党委員会のグエン・ティエン・ニャン書記は4日、ホーチミン市は男女出生比(女児100人...
 保健省人口・家族計画化総局の統計によると、2016~2020年期出生時男女不均衡抑制計画の実施から1年が...
 社会発展研究所(The Institute for Social Development Studies=ISDS)がこのほど発表したデータによる...
 男児を重んじるベトナムでは、2012年の男女の出生比が男児112.3:女児100となり、性別の偏りが大きな社...
 保健省の人口・家族計画化総局は25日、新生児の男女比率が男児に偏りすぎていることを解消するため、女...
 12月26日の「ベトナム人口デー」に先立って25日にハノイで開催された会議の中で、保健省は男女出生比率...
 人口・家族計画化総局は関連当局と協力し、男女の産み分け方法を紹介・推奨しているウェブサイトの運営...
 北部ハイフォン市キエントゥイ郡トゥアンティエン村のグエン・ラン・チャウ(80歳)という老人は男児産...

新着ニュース一覧

 カンボジア公式訪問を開始したチャン・タイン・マン国会議長は21日、カンボジアの首都プノンペンで、同...
 ベトナム共産党政治局・書記局は20日に開かれた会合で、政治局員・国会共産党連合会書記・国会議長在任...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 ワインの輸入販売などを手掛けるエノテカ株式会社(東京都港区)は11月25日、ホーチミン市1区のホーチミ...
 午後3時、ハノイ市ハイバーチュン区ファムディンホー街区在住のグエン・ゴック・クアンさん(男性・61歳...
 住商アグロインターナショナル株式会社(住商アグロ、東京都千代田区)は、ベトナムの農業資材販売会社で...
 ベトナム最大の企業管理職向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を運営するアンファベ(Anph...
 南部メコンデルタ地方カマウ省人民委員会は19日、ダムゾイ郡でダムゾイ・カイヌオック・チャーラー(Dam...
 ホーチミン市人民委員会は21日、12月の商業運転開始を予定している都市鉄道(メトロ)1号線(ベンタイン~...
 21日から23日までの日程でマレーシアを公式訪問中のトー・ラム書記長は21日、最高儀礼に則り盛大に執り...
 ドミニカ共和国を公式訪問中のファム・ミン・チン首相は現地時間20日、ルイス・ロドルフォ・アビナデル...
 米不動産サービス大手クッシュマン&ウェイクフィールド(Cushman & Wakefield=C&W)がこのほど発表した...
 南中部高原地方総合病院は19日、自宅で調理したヒキガエルの肉と卵を食べた児童2人が中毒を起こしたと...
 ベトナム国家大学ホーチミン市校(ホーチミン市国家大学=VNU-HCM)傘下の政策開発研究所が先般発表した...
 医療機関向けパッケージソフトウェアの製造・販売を手掛ける株式会社エクセル・クリエイツ(大阪府大阪...
トップページに戻る