メコンデルタ地方の多くの省ではトカゲが通称「四つ足のヘビ」として広く食されている。このトカゲは庭先や木陰、草むらなどあちらこちらで見かけることができ、家の中に入ってくることも。全身を鱗で覆われ足が速く、危険を察知すると自ら尻尾を切るのが特徴だ。
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主に落ち葉や木の根元にいる昆虫を食べるが、トカゲの捕獲には釣り竿とご飯粒が使われる。釣り針の周りをご飯粒で隠して、釣り糸を草むらに垂らし、トカゲがパクッと噛みついたところで直ぐに釣り糸をたぐり寄せる。1~2時間で数十匹は獲れるが、メコンデルタ地方の特産としてレストランなどに流通するようになってからはその数も減りつつある。
獲ったトカゲは鱗や内臓、足先を取り除けば下処理は完了、一番栄養価があるとされる尻尾はそのままにしておく。トカゲは炭火焼やトウガラシのピリ辛炒め、ロットの葉焼き、お粥などにすると美味しくいただけるが、最も簡単なのが素揚げだ。トカゲを開きにしてネギの根元、ニンニク、コショウ、うま味調味料、ヌクマム(ベトナム魚醤)に漬け込んだ後、こんがりするまでフライパンで揚げる。香草やキュウリと一緒に食べるとより美味しい。
さらに調理時間を短縮したい人には丸焼きがお勧めだ。鱗や内臓を処理する必要はなく、絞めたトカゲを炭火にかけるだけ。火が通ったら包丁で鱗をこそげ落とし、粗びきこしょうでいただく。初めてトカゲを口にする人にとってはインパクト大は間違いなしだ。
トカゲの料理は香り高く肉も甘味と旨味が凝縮されている。滋養強壮にも良いとされ、呼吸が荒く寝付けない子供が食べれば呼吸も整い、女性が食べればお肌もしっとり艶が出るとか。