ベトナム系を含む外国人による住宅購入条件の緩和について定めた改正住宅法が2015年7月1日に施行されてから間もなく2年が経過する。しかし、この2年間にベトナム当局が外国人に発行した土地使用権・土地に付随する資産所有権の証明書は549部に留まっており、外国人による実際の住宅購入件数を大きく下回っているという。
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この背景には、同法のガイダンスとして2015年12月10日に施行された政令第99号/2015/ND-CPの中で、国防・安全保障に支障をきたす恐れのある地域に立地する物件を外国人が所有することを禁止していることがある。
公安省および国防省は外国人の購入制限地域を特定した上で地方自治体に通知し、地方当局がこれをもとに証明書を発行することになっているが、4月20日時点で同2省は地方当局に外国人購入制限地域に関する公文書を送付していないのが現状だ。
既に発行された土地使用権・土地に付随する資産所有権の証明書549部は、外国人購入制限地域に関する規定を盛り込んだ同政令の施行前に締結された物件購買契約に対するもの。同政令の施行後に締結された物件購買契約に基づいた証明書の発行は行き詰まっているが、施行前に締結された物件購買契約については引き続き証明書が発行されている。
同政令では、外国人に与えられる住宅所有期限は50年間だが、所定の手続きを行えば1回に限り更新が認められ、追加で50年間の延長ができると規定している。また、外国人が購入・所有できる物件は、分譲マンションが1棟につき全戸数の30%まで、戸建て住宅が1街区につき250戸までと制限されている。この制限を超える取り引きは全て無効となり、証明書が発行されない。