かつて、「売血」というと窮地に追い込まれた貧困層が金を稼ぐ手段というイメージだったが、今や学生を含む若者がアルバイトとして自分の血液を売って小銭を稼いでいる。ハノイ市の中央血液輸血病院やベトドク病院などは毎日、約100人の売血者を受け入れている。
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地元メディアの記者は、売血者の男性に同伴し、売血の現場へ潜入取材した。病院では、献血と売血の両方を受け入れており、手続きの流れも同じだが、個人情報を記入する申請用紙だけが違っており、献血はピンク色、売血は水色に分けられているという。
この男性は記者に「申請用紙を病院の職員に提出する際、『売血』などと言ってはいけない。あくまでも『献血』のていだ」と念を押した。病院の職員は、申請用紙の色だけで「献血」か「売血」かを見分けるのだ。
申請用紙に記入した後、血液検査を受け、体重が45kg以上で、HIVやB型肝炎などに感染していないことが認められてから、血液採取を行う流れとなっている。売血者の大半は20代~30代の若年層で、売血で得られる報酬は、◇350ml:32万VND(約1830円)、◇450ml:40万VND(約2290円)だ。
売血をする理由について尋ねてみると、ある女性は「経済的に余裕が無く、学費を払うためにアルバイトもしているが、それだけでは不十分」と打ち明けた。しかし、彼女のような人は稀だ。大学2年生のある学生は、「お金が欲しい。自分の血を売ってお金を稼ぐのは別に悪いことではない。アルバイトと同じ感覚でやっている」と語った。