農業農村開発省は1月30日、東北部クアンニン省人民委員会に対し、同省のクマ農場で飼育されている全てのクマを、同省タムダオ国立公園内のクマ保護センターに移管するよう要請した。
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同省が今回の要請を打ち出した背景には、同省で催行されていた「熊胆」目当ての観光客向けツアーが禁止されたことを受け、農場オーナーがクマの世話を放棄していることがある。同省森林警察によると、省内で飼育されているクマの大半は15~20歳の老齢で、採取できる胆汁が少なくなっていることも世話を放棄される理由の1つだという。
当局のデータによると、2013年末時点で152頭のクマが省内で飼育されていたが、2014年から現在までに108頭の死亡が確認されたという。死因は栄養失調や餓死とされている。
ワシントン条約(CITES)ベトナム事務所によると、ベトナムにおいて野生のクマは約100頭、これに対し農場や動物園、保護センターなどで飼育されているクマは約1800頭に上るという。
なお、「熊胆」はクマ由来の動物性生薬で、滋養強壮剤として酒などに混ぜて摂取すると肝臓病などに効果があるとされており、ベトナム人のほか中国人や韓国人などから人気を集めている。